腎不全のケア
公開日:2016年7月25日 10時00分
更新日:2019年2月 1日 21時28分
家族がCKD(慢性腎臓病)と言われたら
家族がCKDと言われたら、まずはその原因と、今どの段階まで進んでいるのかを聞きましょう。CKDは原因や進行度合いによって気を付けることが異なります。そして日常生活で制限はないか、食事ではどのようなことに気をつけたらよいのか、薬はどのような内容が処方されたのか把握しましょう。
患者以外が食事を作る場合には、可能であれば直接栄養士と合って、どのような食事を作ればいいのか具体的に聞きましょう。特に若い人に合わせた食事を作っていると塩分や脂質が多い食事になりがちです。患者のためだけに別の食事を作るのは大変かもしれません。その場合は腎臓病の人のための宅配弁当や通販がありますので、うまく利用しましょう。
薬は数が多く、管理が大変です。中には飲みにくい薬もあります。高齢者の中には間違えて薬を飲まなかったり、2度服用してしまうこともあるため、1日もしくは1回に服用する薬をケースに分けるなどの工夫をしましょう。
家族が腎不全と言われたら
急性腎不全は治療により腎機能が改善する可能性があります。行動制限や食事の指示があればそれを遵守し、その治療経過を見守りましょう。
慢性腎不全の場合は、残念ながら改善することは期待できません。進行を進めないことが治療の中心になります。CKDと同様に処方された薬の管理、生活習慣や食事を守りましょう。
家族が透析を必要と言われたら
透析に入ることが確実である人に対しては計画的な準備を行い、スムーズに透析療法を開始できるよう準備が必要です。
まず必要なのは腎不全や透析療法についての十分な学習です。医療機関スタッフ(医師、看護師、栄養士など)から情報提供を受けて、腎不全とは何か、透析にはどの様な準備が必要で、透析開始前後で生活や食事等がどのように変わるのか等を予め理解しておくことが必要です。日本では透析といえば血液透析が主流ですが、週3回、1回4時間の通院は患者はもちろん、送迎する家族の生活も改変が必要になることがあります。腹膜透析は生活リズムをそれほど変えずに行うことができる透析ですが、患者や家族がしっかりとやり方を習得しないとできません。
そしてもうひとつ、あらかじめ行っておくのは透析で使用するシャントや管の埋め込みの手術です。シャントは作成してもすぐには使用できず、手術から約1ヶ月程度で血管穿刺を繰り返してもつぶれない丈夫なものになります。そのため透析を開始する約1ヶ月くらい前に計画的にこのようなシャント作成術を行います。
腎不全とCKDに関する医療費
腎臓疾患は定期通院が必要で薬の量も多く高額になります。そのため金銭的な負担を取り除くために利用できる制度があります。
腎臓機能障害:障害者医療費助成制度(都道府県により対象となる条件は異なります)
- 所得税・住民税の控除
- 移動手段の費用軽減
特定疾病
透析をしている場合、高額医療費の特例として保険給付され、透析治療の自己負担が1か月1万まで(所得によっては2万まで)となります。制度は複雑で都道府県によって対象やそろえる書類が異なるため、病院のソーシャルワーカーや行政の窓口で相談しましょう。
大切な定期通院
十二分に食事や生活を守っても腎機能が悪化することがあります。そのため定期通院は必ず指示された通りに行い、腎機能の経過をみる必要があります。時には腎臓の状態によって服用していた薬が禁止されたり、指示されていた食事内容が変わることもあります。これは腎臓の状態によって変わりうるものです。その理由がわからなければ、きちんと医師にその理由を説明してもらい、納得して治療を続けましょう。