趣味:登山
公開日:2016年7月25日 00時00分
更新日:2023年8月 4日 11時30分
趣味:登山とは
みなさんは登山をしますか?富士山や中央アルプスなど高い山に登る人、地域の里山に登る人など、登山を行う人は近年増加しています。2009年頃から登山ブームが加速し、山に登るおしゃれな女子という意味で「山ガール」という言葉が生まれました(図)。
山頂に立つ達成感を味わうこと、道中の素晴らしい景色を写真におさめたり、絵で表現することなど、人によって登山の楽しみ方は様々です。きれいな花々や山頂から眺める景色、朝日や夕日に染まる自然はすばらしい印象を与えてくれます。
趣味:登山の目的
健康のために登山をすることはとても効果的です。登山は荷物の重さによっては6.3~7.3メッツの運動量になります1)。健康の維持増進のため以外にも、心のリラックスのため、自然の写真を撮ったり絵をかいたりするため、山草をとるため(山によっては禁止しているところもあります)など、人によって目的は様々です。登山の注意点を守り、安全に効果的に登山ができるようにしましょう。
趣味:登山の効果
登山は時間をかけて山道を歩き続ける有酸素運動になります。標高が高い山では低酸素状態で運動を続けることで、より循環器系に負荷をかけることができます。「高地トレーニング」として持久力向上のために使われることもあります。
また、登り下りのある山道なので足腰の筋力を鍛える筋力トレーニングの効果もあります。主に使われる筋群は、腸腰筋や大腿四頭筋、大臀筋、ハムストリングスが挙げられます。登りと下りで短縮性筋活動と伸張性筋活動の両方を必要とするので、慣れない人では筋肉痛になりやすいかもしれません。石や岩がある自然の道を歩く際にはバランスを保つ力も大切になります。歩きながらバランストレーニングの効果も期待できます。
精神面でも自然の中を歩いたり、きれいな景色を見ることでリラックス効果があります。仲間と話しながら楽しく歩くことで、生活習慣病予防に効果的な「にこにこペース」で歩き続けることができますし、心身ともに健康にとてもよい効果があるといえます。
趣味:登山の注意点
登山を楽しむ人口の増加に伴い、山での遭難など山岳事故の発生件数が増加しています。平成29年の警視庁の発表2)では、平成28年の山岳遭難発生件数が2,495件(前年比-13件)、遭難者数2,929名(前年比-114名)でした。前年に比べて発生件数、遭難者数は減少しているものの、統計が始まった昭和36年以降で平成27年(前年)がワースト1位、平成28年がワースト2位と、高い数値を示しています(表)。
H19 | H20 | H21 | H22 | H23 | H24 | H25 | H26 | H27 | H28 | |
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発生件数(件) | 1,484 | 1,631 | 1,676 | 1,942 | 1,830 | 1,988 | 2,172 | 2,293 | 2,508 | 2,495 |
遭難者数(人) | 1,808 | 1,933 | 2,085 | 2,396 | 2,204 | 2,465 | 2,713 | 2,794 | 3,043 | 2,929 |
遭難事故発生の原因の多くは、基礎的な知識・技術の不足であり、初歩的な判断ミスです。「低い山だから大丈夫」、「天気がいいから大丈夫」という油断が重大な事故につながるのです。
登山をする際には、登山計画の作成・提出、道迷いの防止、滑落・転落の防止、的確な状況判断に留意する必要があります3)。登山計画書は警察本部または地域の警察署に提出します。登山は経験豊富なリーダーや仲間と行うようにします。パーティ全員で相談しながら登山計画書を作成します。また滑落・転落防止のため、滑りにくい登山靴やストック等を使用したり、慎重に行動をするように心がけます。視界が悪かったり体調が優れなかったり不安があるときには、登山を中止する勇気も必要です。
趣味:登山をする際の相談先は
長野県では、主要な登山口に「登山相談所」が設けられています。登山相談所では登山への万全な準備と、気象条件の見極め、リスクのある箇所や避難所などの情報を提供してもらうことができます。
登山相談所が開設されていない地域では、登山計画書を管理している警察署が山の情報を提供しているところが多くあります。各県の警察ホームページでも登山情報を確認することができます。ぜひ活用してみてください。
参考文献
- 国立健康・栄養研究所.改訂版「身体活動のメッツ(METs)表」.2012年4月11日改訂
- 平成28年における山岳遭難の概況(平成29年) 警察庁生活安全局地域課