介護予防短期入所療養介護とは
公開日:2019年2月12日 10時25分
更新日:2023年6月 8日 10時01分
介護保険が使える介護予防の短期入所系サービスの種類1)
介護保険制度において、要支援者が要介護状態になることを防ぐ、または今よりも状態を悪化させないなど、予防を目的としている短期入所系サービスは、介護予防を目的とすると同時に、一時的に自宅を離れ、介護者の負担軽減を図る目的もあります。
介護予防の短期入所系サービスには、介護予防短期入所生活介護、介護予防短期入所療養介護があり、いずれも「ショートステイ」とも呼ばれます。この2つの違いは、入所する施設に違いがあります。
- 介護予防短期入所生活介護:老人短期入所施設、特別養護老人ホームなど
- 介護予防短期入所療養介護:介護老人保健施設、療養病床を有する医療機関(病院もしくは診療所など)、老人性認知症疾患療養病棟、介護医療院
介護予防短期入所療養介護の場合、基本的には医療機関に入所することが多く、看護および医学的管理の下で「介護及び機能訓練その他必要な医療並びに日常生活上の世話」を受けることができます。
介護予防短期入所療養介護とは2)
介護予防短期入所療養介護とは、何らかの事情により、一定期間自宅での介護ができない時に利用できるサービスです。利用目的としては、介護者や家族の負担軽減のため、介護者や家族が外出するため、リハビリのためなどが多いです。
具体的には、介護予防を目的として、医師や看護職員による医療や入浴、排泄、食事等の介護の他、理学療法士などによる機能訓練が提供されます。これによって、利用者の心身機能の維持・改善や利用者の家族の身体的及び精神的負担の軽減を図ります。
市町村が設置する地域包括支援センターが作成したケアプラン(その原案の作成については指定居宅支援事業者に委託される場合があります)に基づき、利用者一人ひとりの自立支援に役立つサービスが提供されます。
介護予防短期入所療養介護の対象者
介護予防短期入所療養介護の要支援1あるいは要支援2の認定を受けた方が対象となります。
また、次のような条件も必要です。
- 利用者の心身の状況や病状が悪い場合
- 家族(介護者)の疾病、冠婚葬祭、出張
- 家族(介護者)の身体的・精神的負担の軽減
などです。
介護予防短期入所療養介護のサービス内容3)
介護予防短期入所療養介護は、投薬やリハビリなどの医療的なケアを中心としたサービスを提供します。
日中は、他の利用者と一緒に共用スペースで、歌や手芸などの活動や機能訓練を行います。入浴は、施設によって入浴できる曜日が違うので、確認をしましょう。食事は施設内にて取ります。
介護予防短期入所療養介護のサービスを受けるまで3)
介護予防短期入所療養介護は、ケアマネージャーを通じて、利用を決めます。予約をしたうえで利用する場合が多く、2~3ヵ月くらい前から予約を受けている施設が多いです。利用日数は、連続利用日数30日までとしています。
契約の際には、施設の担当者が利用者宅を訪問します。在宅での生活状況を事前に確認し、ショートステイの利用の仕方などの説明を行います。
利用当日は、持参している荷物の確認を行い、施設を案内してから利用が始まります。
介護予防短期入所療養介護の部屋のタイプ4)
介護予防短期入所療養介護で利用できる部屋のタイプには次のようなものがあります。
従来型個室
食堂、浴室、機能訓練は共用スペースで行われます。洗面台とトイレは室内にある場合が多いです。
多床室
医療施設に多く、1部屋あたり4床以下の相部屋となります。食堂、浴室、機能訓練は共用スペースで行われます。
ユニット型個室
10人ほどを1つのユニットとしてサービスを提供しています。台所、食堂、浴室は共用で、居室自体は個室となっています。
ユニット型個室的多床室
以前はユニット型準個室と呼ばれていましたが、改定後、「ユニット型個室的多床室」と変更となりました。設備やサービスはユニット型個室と同様です。ただし、居室が天井と壁の間に隙間が生じているため、完全な個室とは言えません。
介護予防短期入所療養介護の1日当たりの自己負担額(1割の場合)の目安
介護予防短期入所療養介護で最も多く利用されている介護老人保健施設(介護老人保健施設)は、施設の形態や運営基準によって、従来型、在宅強化型、療養型に分かれます。
「在宅強化型」とは高い在宅復帰率を達成している介護老人保健施設のことで、「療養型」とは既存の介護老人保健施設では対応が難しい医学的な管理や日常的な医療処置への対応が強化された介護老人保健施設のことです。さらにそれぞれの施設に部屋のタイプに、従来型個室、多床室、ユニット型個室があり、費用が変動します。
ここでは従来型の介護老人保健施設を利用した場合の利用料の目安を表1にまとめました。
要介護区分 | 従来型個室 | 従来型個室 | 従来型個室 | 多床室 | 多床室 | 多床室 | ユニット型個室・ユニット型個室的多床室 | ユニット型個室・ユニット型個室的多床室 | ユニット型個室・ユイット型個室的多床室 |
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運営基準 | 基本型 | 在宅強化型 | 療養型 | 基本型 | 在宅強化型 | 療養型 | 基本型 | 在宅強化型 | 療養型 |
要支援1 | 580円 | 621円 | 584円 | 613円 | 660円 | 621円 | 623円 | 668円 | 651円 |
要支援2 | 721円 | 762円 | 725円 | 768円 | 816円 | 777円 | 781円 | 826円 | 809円 |
- 費用は基本サービス費と、利用者の状態に応じたサービス提供や施設の種類・体制により異なります。
- 日常生活費(食費・滞在費・理美容代等)などは、別途自己負担となります。
- 連続した利用が30日を越えた場合、31日からは全額自己負担となります。
- 事業所によって介護職員処遇改善加算(現行加算)、介護職員等特定処遇改善加算(特定加算)が加わります。なお、介護職員処遇改善加算及び介護職員等特定処遇改善加算は支給限度額の対象外です。
介護予防短期入所療養介護サービスを提供する職員体制
介護予防短期入所療養介護サービスを提供するために必要な職員として、医師、看護職員、生活相談員、介護職員、機能訓練指導員、栄養士、薬剤師等が配置されています。短期入所生活介護と比べて、医療関係者が多く配置されています。
参考文献
- 江田章江ほか編:困りごとから探せる介護サービス利用法[改訂版], 社会福祉法人東京都社会福祉協議会, 東京都, 2017年, P118,P119,P124
- 社会保険研究所:介護報酬の解釈[1]単位数表編. 9版, 社会保険研究所, 東京都, 2018年, P334-336