介護予防居宅療養管理指導とは
公開日:2019年2月12日 10時22分
更新日:2019年10月23日 09時00分
介護予防居宅療養管理指導とは1)
介護予防居宅療養管理指導とは、医師、歯科医師、薬剤師、歯科衛生士、管理栄養士、看護師、保健師等が、通院できない要支援1又は要支援2と認定された高齢者に対し、居宅を訪問して、可能な限り居宅において、有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、医療器具や病状など療養上の管理及び指導をしてくれるサービスです。医療の専門家が自宅を訪問し、健康管理や指導をしてくれるという便利なサービスです。
医師及び歯科医師による管理指導
訪問診療又は訪問歯科診療の際に、医学的管理又は歯科医学的管理に基づき、ケアマネージャーやその他の事業者に対して利用者の状況など情報提供をし、利用者やその家族に対して、介護保険で給付されるサービスを利用する上での留意点、介護方法等の指導を行います。
薬剤師による管理指導
医師又は歯科医師の指示に基づき、薬剤の服薬指導、重複した投薬のチェック、副作用の把握、薬剤の管理状況の確認等を行います。また、内服しやすいように薬を粉剤にすることや、一つの袋に一包化することができます。
管理栄養士による管理指導
医師の指示に基づき、摂食・嚥下機能(えんげ:物を飲み下すこと)や食形態にも配慮した栄養ケア計画を作成したり、食事相談を受けたりします。利用者に適した食事メニューや調理法の指導なども行います。
歯科衛生士等による管理指導
利用者の自宅で訪問歯科診療を行った歯科医師の指示に基づいて、自宅を訪問して、口腔内の清掃、入れ歯の手入れ、摂食・嚥下機能に関する実地指導を行います。
保健師、看護師等による管理指導
看護職員による介護予防居宅療養管理指導は2018年4月1日に廃止されました。なお、保健師、看護師及び准看護師が歯科衛生士が行う居宅療養管理指導に相当するものを行う場合は除きます。
介護予防居宅療養管理指導のサービスの対象者
介護予防居宅療養管理指導は、要支援1または要支援2の認定を受けた方が対象となっています。
介護予防居宅療養管理指導の1回あたりの自己負担額(1割の場合)の目安2)
介護予防居宅療養管理指導を利用する際の自己負担額の目安は表1の通りです。
管理指導者 | 利用限度回数 | 単一建物居住者1人 | 単一建物居住者2~9人 | 単一建物居住者10人以上 |
---|---|---|---|---|
医師 | 月2回 | 509円 | 485円 | 444円 |
医師(医療保険による訪問診療を受けている場合) | 月2回 | 295円 | 285円 | 261円 |
歯科医師 | 月2回 | 509円 | 485円 | 444円 |
薬剤師(病院または診療所の薬剤師が行う場合) | 月2回 | 560円 | 415円 | 379円 |
薬剤師(薬局の薬剤師が行う場合) | 月4回 | 509円 | 377円 | 345円 |
管理栄養士 | 月2回 | 539円 | 485円 | 444円 |
歯科衛生士 ※歯科衛生士が行う居宅療養管理指導に相当するものを行う保健師、看護師及び准看護師を含む |
月4回 | 356円 | 324円 | 296円 |
※2018年度介護報酬改定により、訪問した建物内において、当該訪問月に診療した人数(単一建物居住者の人数)に応じて報酬を設定することとなりました。
※サービスの内容等に応じて利用料は異なります。詳しくは市区町村の窓口や地域包括支援センター、担当のケアマネージャーにお問い合わせ下さい。
※「介護予防居宅療養管理指導」の利用料に関しては、地域差は設定されません。従って、実際の「介護予防居宅療養管理指導料」は、1単位に10円をかけて計算されます。1割負担の場合はその1割ですので上記金額ですが、2割負担の場合はその2倍、3割負担の場合はその3倍の自己負担額となります。
介護予防居宅療養管理指導のサービスの流れ4)
要介護認定で要支援1あるいは要支援2と認定されると、主治医(かかりつけ医)による指示書が作成されています。実際に利用する介護サービス(または介護予防サービス)については、ケアマネージャーによるケアプランが作成されます。その際に、事前に対象となる要支援1あるいは要支援2の方を訪問し、療養上の管理や指導を行った際に発生するのが「介護予防居宅療養管理指導の利用料」です。
実際に、どのような職種が訪問するかは、主治医(かかりつけ医)の指示書を元に調整されることになります。
要支援1あるいは要支援2の方を訪問し、具体的にどのような管理・指導を行ったのかを記録し、これをケアマネージャーに情報提供することで、利用者側の費用負担が発生します。
介護予防居宅療養管理指導のサービスの限度回数4)
介護予防居宅療養管理指導は、月に行う回数に限度があります。
- 医師または歯科医師の場合、月に2回まで
- 薬剤師の場合、医療機関の薬剤師は月に2回まで、薬局の薬剤師は月に4回まで
- 管理栄養士の場合、月に2回まで
- 歯科衛生士の場合、月に4回まで
回数の限度内であれば、介護保険の支給限度額の枠外なので、他の介護サービスまたは介護予防サービスと、利用料の調整を行う必要はありません。
参考文献
- 江田章江ほか編:困りごとから探せる介護サービス利用法[改訂版], 社会福祉法人東京都社会福祉協議会, 東京都, 2017年, P82, P83
- 牛越 博文 (監修):図解 介護保険のしくみと使い方がわかる本 (介護ライブラリー). 初版. 講談社. 2018年, P82