その他の生活支援サービス(第1号生活支援事業)とは
公開日:2019年2月13日 09時25分
更新日:2019年6月27日 14時38分
その他の生活支援サービスとは
その他の生活支援サービスは、外出や調理の実施が困難な者等に対して栄養改善を目的とした配食サービスや、住民ボランティア等が行う見守り、「訪問型サービス」「通所型サービス」を一体的に提供することを目的としています(図1)。
また、生活支援サービス事業所の実施方法には、介護サービス事業者やNPO・民間企業に、要支援者等に対する支援等の提供を委託するもの、今の予防給付などと同様に、市町村長が指定した事業者が要支援者等にサービスを提供するもの、地域において活動しているNPOやボランティア等に対して、要支援者に対するサービス提供などを条件として、その立ち上げ経費や活動に要する費用を補助(助成)するものがあります1)。
その他の生活支援サービスの狙い2)
超高齢社会の進展により、今後はますます高齢者人口が増えていきます。しかし、高齢者になったらすぐに「介護」が必要になるわけではありません。むしろ、高齢者が健康で長生きできる社会の構築が、わが国の抱える大きな課題でもあります。
そんな中で、高齢者が人生経験と時間を活かしつつ、自分らしい生活を続けられる社会の構築が求められています。世代を超えた人とのつながりを持ち、自らの役割を感じて活躍できる社会を実現することが求められています。
その為には、多くの高齢者が健康づくりに励み、様々な地域・社会活動に参加する環境づくりが必要です。高齢者の生活に役立つモノやサービスを活用しながら、いつまでも元気で暮らせる環境を整えていく必要があります。
2015年度に行われた介護保険法の改正では、これらのことを後押しする目的で、「生活支援体制整備事業(以下、体制整備事業)※」という新しい事業が創られました。実際、介護保険法の中では、生活支援サービスについて以下のように明示されています。
- 生活支援体制整備事業の定義(介護保険法第115条の45 第2項第5号):
- 被保険者の地域における自立した日常生活の支援及び要介護状態等となることの予防又は要介護状態等の軽減若しくは悪化の防止に係る体制の整備その他のこれらを促進する事業
高齢者にとっての社会参加、生活支援、介護予防2)
高齢者にとっての社会参加は、自身の生活環境の変化(家族内での役割の変化、居場所の変化など)に対し、新しい役割や居場所を得ることで、「生きがい」を得るために必要なことです。しかし、そのきっかけや情報を得ることが難しいのが現実であり、結果的に社会参加ができていない高齢者がいます。
また、身体能力の低下により、日常の生活上での困りごとが発生している高齢者が、今後も増えていくと考えられています。例えば、重いものを買いに行けない、遠くまで買い物に行けない、栄養バランスを考慮した食事を作ることが難しい、家や庭の手入れが行き届かない、一度にたくさんの洗濯ができない(干せない)など、以前は出来ていたことが出来ない、という困りごとが増えていきます。
こうした生活上の困りごとを解消し、高齢者が住み慣れた地域内で生きがいをもって生活していくために必要とされるのが、生活支援であり、これが「介護予防」にもつながっていくと考えられています。
生活支援サービスの例2)
生活支援サービスは原則的に、地域ごとに提供されます。この場合の「地域」は、大きく3つに分けて考えられており、それぞれの地域で提供されるサービスの内容に違いがあります(図2)。
それぞれの地域の特性を生かし、民間企業、NPO団体、ボランティアなどが相互に協力し、地域ごとに違ったサービスを提供しています。
例えば、生きるために必要な「食」についてみると、配食サービスなどを提供している地域があります。これは、栄養改善を目的とし、栄養バランスのとれた食事の提供、治療食の提供だけではなく、一人暮らし高齢者への見守りを兼ねるサービスです。食事を対面で渡すことで安否の確認、他者との交流も含めて配食サービスの1つといえます。
配食サービスの対象となるケースには以下を目的としているものがあります。
- 摂取カロリーが少ない、栄養の偏りが見られる場合の栄養改善
- 認知機能や下肢筋力、意欲の低下等により、調理に支障があるため、見守りを兼ねる
- 閉じこもり傾向がある高齢者への安否確認
実際の生活支援サービスの内容については、居住地の自治体や、地域内の生活支援コーディネーターなどに確認すると良いでしょう。