地域包括支援センターとは
公開日:2019年2月13日 08時40分
更新日:2019年2月 1日 14時50分
地域包括ケア体制を支える地域包括支援センターとは
「地域包括ケア」は、高齢者が住み慣れた地域での尊厳ある生活を継続することができるよう、要介護状態になっても高齢者のニーズや状態の変化に応じて必要なサービスが提供される体制を目指すものです。
2005年4月からの介護保険制度の見直しに伴い、地域包括ケアの体制を支える地域の中核機関として、新たに「地域包括支援センター」の設置が定められました。地域包括支援センターの設置主体は、市町村ですが、在宅介護支援センターの運営法人、社会福祉法人、医療法人等の市町村から委託を受けた法人も設置することができます。
地域包括支援センターは、市町村ごとに担当のエリアが設定されます。保健師(又は地域ケアに経験のある看護師)、主任ケアマネジャー、社会福祉士の3つの専門職種またはこれらに準ずる者が配置されています。設置の目安としては、人口2万人から3万人に一カ所設置されることになります。
地域包括支援センターの機能と運営
地域包括支援センターは、公正・中立な立場から、以下の4つの機能を担います。
- 第1号介護予防支援
- 総合相談支援業務
- 権利擁護業務
- 包括的・継続的ケアマネジメント支援業務
介護予防支援としては、地域包括支援センターの職員が中心となって、介護予防ケアプランを作成するほか、利用者が安心して、介護予防サービスを利用できるよう支援します。
地域包括支援センターの設置運営に関しては、市町村が事務局となり、地域のサービス事業者、関係団体、被保険者の代表などにより構成される「地域包括支援センター運営協議会」が関与します。
地域包括支援センターの責務
2018年度の介護保険法の一部改正により、市町村と地域包括支援センターは、「実施した事業に対する評価の実施」と「必要な措置」を講ずることが、義務化されました1)。
評価の実施については、2018年度から、全国統一の指標を用いることになります。これにより、全国の市町村、および地域包括支援センター間で、相互を比較することによる評価が可能となりました。例えば、人員体制や業務への対応等に関する、必要な改善措置を検討することになるため、評価の結果を踏まえて、適切な対応を行うことが義務付けられました。
地域包括支援センターの具体的な業務1)
地域包括支援センターには、大きく分けて4つの業務があります(図1)。
それぞれの役割を少し細かく見てみます。
第1号介護予防支援事業
第1号介護予防支援事業は、基本チェックリストに該当する者(以下「基本チェックリスト該当者」という)に対し、介護予防及び日常生活支援を目的として、適切なサービスが包括的かつ効果的に提供されるよう必要な援助を行う業務。
総合相談支援業務
総合相談支援業務は、高齢者本人だけではなく、その家族に対しても、初期段階での相談対応及び継続的・専門的な相談支援、その実施に当たって必要となるネットワークの構築、地域の高齢者の状況の実態の把握を行う業務。
権利擁護業務
権利擁護業務は、地域の高齢者が、安心して尊厳のある生活を行うことができるよう、専門的・継続的な視点からの支援を行う業務のこと。地域の住民や民生委員、介護支援専門員などの支援だけでは十分に問題が解決できない、適切なサービス等につながる方法が見つからない等の困難な状況にある高齢者を対象とします。
包括的・継続的ケアマネジメント支援業務
包括的・継続的ケアマネジメント支援業務は、高齢者が住み慣れた地域で暮らし続けることができるよう、包括的かつ継続的なケアに対するマネジメントを行う業務のこと。介護支援専門員、主治医、地域の関係機関等の連携、在宅と施設の連携など、地域において、多職種相互の協働等による連携を図る。さらに介護予防ケアマネジメント、指定介護予防支援及び介護給付におけるケアマネジメントとの相互の連携を図ることにより、個々の高齢者の状況や変化に応じた包括的・継続的なケアマネジメントを実現するため、地域における連携・協働の体制づくり、個々の介護支援専門員に対する支援等を行います。