基本チェックリストとは
公開日:2019年2月13日 09時50分
更新日:2023年8月 2日 11時42分
生活や健康状態をチェックする基本チェックリストとは1)
基本チェックリストとは、65歳以上の高齢者が自分の生活や健康状態を振り返り、心身の機能で衰えているところがないかどうかをチェックするためのものです。生活機能の低下のおそれがある高齢者を早期に把握し、図1の介護予防・日常生活支援総合事業)へつなげることにより状態悪化を防ぐためのツールです。全25項目の質問で構成されています。
市町村窓口においては、確認者は専門職者でなくてもよく、利用者本人の状況やサービス利用の意向を聞いた上で、振り分けを判断します。
利用者本人の状況を確認しつつチェックリストは実施するものであり、基本チェックリストのチェック内容は、本人の状態に応じて変化するということを念頭においておかなければなりません。そのため、一般介護予防へ移行した後や、一定期間サービス事業の利用がなかった後に、改めてサービス利用の希望があった場合は、再度基本チェックリストを用いたチェックを行い、サービスの振り分けを行う必要があります。
また、該当する項目が少なかった場合であっても介護ケアマネジメントにおいて評価を行った結果、自立支援に向けて必要なサービスであると判断されれば、そのサービスを受けることもできます。
基本チェックリストの対象者の条件
基本チェックリストによるチェックの対象者となるのは、主に以下のような方です。
- 要支援1の認定を受けている認定更新対象者(要支援2の方も実施は可能)
- 介護予防給付サービスの利用を必要としない方
- 基本チェックリストによる事業対象者認定を希望する方
- 第2号被保険者ではない方
以上の項目にすべて該当する方が基本チェックリストを実施することができます。なお、要介護認定の更新と基本チェックリストの両方を行うことはできません。
基本チェックリストの内容とは3)
基本チェックリストの質問内容は以下のようになります。
- バスや電車で、一人で外出していますか
- 日用品の買い物をしていますか
- 預貯金の出し入れをしていますか
- 友人の家を訪ねていますか
- 家族や友人の相談にのっていますか
- 階段を手すりや壁をつたわらずに昇っていますか
- 椅子に座った状態から何もつかまらずに立ち上がっていますか
- 15分位続けて歩いていますか
- この1年間に転んだことがありますか
- 転倒に対する不安は大きいですか
- 6ヶ月間で2kgから3kg以上の体重減少がありましたか
- 身長(cm)と体重(kg)およびBMI(注)
- 半年前に比べて固いものが食べにくくなりましたか
- お茶や汁物等でむせることがありますか
- 口の渇きが気になりますか
- 週に1回以上は外出していますか
- 昨年と比べて外出の回数が減っていますか
- 周りの人から「いつも同じ事を聞く」などの物忘れがあると言われますか
- 自分で電話番号を調べて、電話をかけることをしていますか
- 今日が何月何日かわからない時がありますか
- (ここ2週間)毎日の生活に充実感がない
- (ここ2週間)これまで楽しんでやれていたことが楽しめなくなった
- (ここ2週間)以前は楽にできていたことが今はおっくうに感じられる
- (ここ2週間)自分が役に立つ人間だと思えない
- (ここ2週間)わけもなく疲れたような感じがする
(注)BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)が18.5未満の場合に該当とする
基本チェックリストの質問項目の意図
基本チェックリストの質問事項には、次のような意図が含まれています。
- 1~5の項目...日常生活関連動作について
- 6~10の項目...運動器の機能について
- 11.12の項目...低栄養状態かどうか
- 13~15の項目...口腔機能について
- 16.17の項目...閉じこもりについて
- 18~20の項目...認知症について
- 21~25の項目...うつについて
※21~25の項目に関しては「一時的なもの」ではなく、「ここ2週間継続して感じている」かどうか
基本チェックリストによる判定方法
基本チェックリストによる判定は、主に以下のような基準で行われます。
- 1~20までの20項目のうち10項目以上に該当(複数の項目に支障あり)
- 6~10までの5項目のうち3項目以上に該当(運動機能の低下)
- 11.12の2項目のすべてに該当(低栄養状態)
- 13~15までの3項目のうち2項目以上に該当(口腔機能の低下)
- 16.17の2項目のうちNo.16に該当(閉じこもり)
- 18~20までの3項目のうちいずれか1項目以上に該当(認知機能の低下)
- 21~25までの5項目のうち2項目以上に該当(うつ病の可能性)
それぞれの質問は、ご本人の心身の状況についての概要を把握する上で必要です。しかし、1回の判定だけで、その人のすべての心身の状況が分かるわけではありません。どの程度の頻度でチェックを行えば良いかという基準はありません。
しかし、ご本人の心身の状況の変化に応じて、回答の内容にも変化が出てきます。体や心の変化に気づいたら、再度基本チェックリストのチェックを受けてみることも良いでしょう。