テロメア伸長から迫る健康長寿
公開日:2025年4月11日 10時30分
更新日:2025年4月11日 10時30分
こちらの記事は下記より転載しました。
細胞老化では染色体末端の反復配列「テロメア」の長さの保持が老化抑制につながる。それにはテロメラーゼ逆転写酵素、つまり「TERT遺伝子」の活性がカギになる。南京大学のYan Pan研究室では、TERT遺伝子を本来の座位で恒常的に活性化した遺伝子改変マウスを作成した。するとテロメア長は維持され、寿命も延び、炎症抵抗性も亢進し創傷治癒も促進、皮膚や腸の若返りを期待させた。一方、テキサス大学のRonald DePinho一派はTERTを活性化する低分子化合物(TAC)を探索し、その有望候補の効果をヒト培養細胞とマウスへの投与実験で調べた。すると、老化防御の兆候が多数観察された。このようにTERT活性化は細胞老化だけでなく個体老化の制御にも有効で、TAC候補は今後がん化誘導には注意しつつ抗老化薬としての期待も高まる。
文献
Zhu TY, et al., Aging Cell. 2024: e14445. doi: 10.1111/acel.14445; Shim HS, et al., Cell. 2024; 187(15): 4030-4042
筆者
- 森 望(もり のぞむ)
- 長崎大学名誉教授
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