テクノロジーは偶然の賜物

公開日：2024年5月 1日 09時00分
更新日：2024年8月16日 15時18分

こちらの記事は下記より転載しました。

公益財団法人長寿科学振興財団発行　機関誌 Aging&Health 2024年第33巻第1号（PDF:5.8MB）（新しいウィンドウが開きます）

　人類の先祖が使用していた剥離石器は、その生活を大きく変える有効なテクノロジーであったはずである。考古学では、早い段階から人類が剥離石器を生産していたと考えられてきた。しかしながら、オナガザルが多く生息する地域での観察から、それは偶然できたものであるかもしれないという研究成果が発表された。オナガザルが石を打ちつけてナッツを割る現場から採集した石片を詳細に調べたところ、それらは古代人が生産したとされる剥離石器の形状や剥離方向等の特徴が類似しているという結果が得られた。これは、人類の祖先が意図的ではなく、偶然、剥離石器を創り出していた可能性を示している。現場から役立つ物を考える福祉機器の研究に大きな示唆を与えるものである。