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アルツハイマー病において免疫系T細胞がミエリン傷害を引き起こす

公開日:2024年10月18日 09時00分
更新日:2024年11月12日 16時04分

 脳内の神経細胞の周りを取り囲み神経伝達を円滑にするミエリンは、加齢とともに傷害をうけることが知られているが、アルツハイマー病(AD)との関連はよくわかっていなかった。ミュンヘン工科大学M. Simons博士らは、ADモデルマウス脳内のミエリンを観察したところ、折れ曲がりや断片化といったミエリン傷害が起きていることを見出した。またこのミエリン傷害のメカニズムとして、脳内に浸潤した免疫系T細胞がミクログリア細胞を活性化することで傷害が生じることが明らかになった。脳内からT細胞やミクログリア細胞を除去したり、ミクログリア細胞の活性化を抑制すると、ミエリン傷害を緩和できることを示している。これらの結果は、AD発症にミエリン傷害が関わること示すとともに、脳内の細胞の傷害に免疫系細胞が関わるという新しい概念を提唱している。

文献

Kedia S, et al., Nat. Neurosci. 2024; 27(8): 1468-1474

筆者

堀 由起子(ほり ゆきこ)
東京大学大学院薬学系研究科機能病態学教室准教授

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公益財団法人長寿科学振興財団発行 機関誌 Aging&Health 2024年 第33巻第3号(PDF:6.0MB)(新しいウィンドウが開きます)

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