睡眠と健康長寿の関係
公開日:2019年6月21日 10時00分
更新日:2019年6月21日 10時00分
睡眠は生活習慣のひとつであり、睡眠と健康は相互に関係しています。睡眠が健康に及ぼす影響、睡眠と死亡率との関係について確認していきましょう。
睡眠と健康の関係
良い睡眠は心身の疲労を回復し、規則的な睡眠リズムをつくる働きがあります。規則正しい睡眠習慣を送ると体内時計が整い、睡眠に備えてホルモンの分泌や体内の生理的な活動の調節が前もって行われます1)2)。
睡眠と生活リズム
規則正しい食生活をとること、日中を活動的に過ごすこと、適度な運動習慣を持つことは、決まった時間に入眠・起床することを促します。また、良い睡眠につながります。良い睡眠が得られると、日中を活動的に過ごすことができ、良い睡眠につながるメリハリのある生活を送れるようになります。
良い睡眠が健康な身体をつくり、健康的な生活を送ることで良い睡眠がとれるのです。
入眠・起床時間のずれが起こると睡眠不足になるばかりでなく、日中の活動や食事の時間にも影響し、良い睡眠も健康的な生活も得られにくくなります。
良い睡眠とは
良い睡眠とは、その人にとっての十分な睡眠時間が確保でき、質の高い快適な睡眠が得られることです。良い睡眠は身体も心も健康にし、生活習慣病予防となります。睡眠不足や睡眠の質の低下が起こると身体や心の不調をきたし、生活習慣病のリスクとなります。
睡眠不足の健康リスク
睡眠不足で起こる生活習慣病とこころの健康についてみていきましょう。
睡眠と生活習慣病
睡眠不足は生活習慣病のリスクを高めます。毎日の睡眠時間が短く、慢性的な睡眠不足状態であると、意欲の低下や日中の眠気、抑うつ、注意力の低下、倦怠感などが起こり、作業効率の低下やミスにつながるばかりでなく、体内のホルモン分泌や自律神経機能にも影響することが言われています3)。
睡眠が不足すると食欲を抑えるホルモン(レプチン)が減少し、食欲を高めるホルモン(グレリン)が強くなり食欲が増大します。睡眠時間が不規則になることで食事の時間が不規則となることや、日中の活動が低下し、運動不足となることで肥満のリスクが高くなります。
不眠症や睡眠時無呼吸症候群などの睡眠障害があると、交感神経の緊張による血管の収縮、酸化ストレスや炎症、血糖を上昇させるホルモンの過剰分泌、代謝異常、活動性の低下による運動不足などの生活習慣病を発症する要因が整います。高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病の発症につながり、心筋梗塞、脳血管疾患などの非常に重い疾患を引き起こす危険性が高まります(図1)。
睡眠とこころの健康
不眠は認知機能の低下をきたし、抑うつなどのこころの不健康につながる事が示されています2)。不眠はこころの健康を損なうことにつながります。こころが不健康な状態であると、不眠や睡眠をとっても休養感が得られないこともあり、こころの健康と睡眠は深く関係しています2)。
睡眠時間と死亡率の関係
睡眠時間と心血管疾患および他の原因による死亡率との間の男女別の関連性を調査したコホート研究によると、4時間以下の短時間および10時間以上の長時間の睡眠時間は、心血管疾患、非心血管疾患・非がん、および男女のすべての原因による死亡率の増加と関連しており、7時間の睡眠時間がもっとも死亡率が低いということがわかりました4)。
睡眠時間が短い場合には睡眠不足となり、生活習慣病のリスクが高くなります。一方、不眠ではこころの健康が損なわれやすくなります。このように睡眠と健康は密接に関係しているので、高齢者でも自分自身の睡眠をもう一度見直すことが必要でしょう。