健康長寿ネット

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快眠のための環境作り

公開日:2019年6月21日 09時25分
更新日:2019年6月21日 09時25分

 快眠のためには寝具とともに寝室の環境も整えることが大切です。睡眠をとる空間、光、音、温度・湿度の条件は睡眠に影響を与えます。快眠のための環境についてそれぞれの項目ごとに確認していきましょう。

快眠のための最適な環境とは

 快眠を得るためには睡眠環境を整えることも大切です。リラックスして落ち着くことのできる空間の雰囲気と、入眠時の明るすぎない光と起床時の自然な光、入眠や睡眠を妨げない音環境、心地よく感じられる温度・湿度といった物理的な環境条件を睡眠に適した状態に整備することで、寝つきやすく質の良い睡眠を得ることができます。

img:快眠のための環境に最適な室内の照度が暗めの寝室のベッドサイドの写真

快眠のための最適な環境の条件について

 寝室の快眠のための最適な環境に「空間」「光」「音」「温度・湿度」についてそれぞれの条件ごとにみていきましょう。

快眠のための「空間」

 寝室は休息をとる場所であるため、リラックスできて居心地が良く、安心感のある空間であることが大切です。家具の配置などに不安な要素がないこと、ワークスペースとの兼用は避け、活動の場とくつろぐ場とを分けること、余計なものは置かずにシンプルな空間であることが快眠をもたらすために望ましいと言えます。

 夜間のブルーライトには睡眠の質を下げる作用があると言われており1)、寝室では、ブルーライトが減らせるような照明の配置やテレビやパソコンの設置を避けるなどの対策を行う必要があるでしょう。

快眠のための「光」の環境

 概日リズムによって寝る前に分泌され、眠りを促進するメラトニンは、照度が高い光をたくさん浴びるほど分泌が抑制され、入眠が妨げられます2)。夜寝る前に活動するときの光の照度は100~200ルクス(lx)※1を目安とし、色温度※2が低く、明るすぎない暗めの光でリラックスを促し、必要以上に覚醒を促進しないことが良いとされています2)

 入眠前には、色温度の低い、赤みを帯びたやわらかい光で、照度は30ルクス以下の低照度の光がスムーズな入眠を促すとされています2)

※1 ルクス(lx):
ルクス(lx)は、照度の単位。照度とは光を受ける面の明るさのことで、光源から出た光がある面にどの程度降り注いでいるかを表します。
※2 色温度:
色温度の単位はK(ケルビン)で表され、色温度が低いほどオレンジ色に近い暖色系の明かりで、色温度が高いほど白色~青色の寒色系の明かりとなります。

快眠のための「音」の環境

 睡眠中は40dBA(デシベルエー)以下の音環境が望ましいとされており、50dBA以上になると半数の人は睡眠が阻害されると言われています3)。40dBA以下の音の目安としては図書館や木の葉の触れ合うくらいの音量です。50dBA以上の音は換気扇や家庭用のクーラーの室外機の音、テレビや洗濯機などの生活機器が発する程度の音量です。感覚刺激の少ない暗く無音の環境では、覚醒度が高まり、些細な音が気になることや不安感や緊張感が高まって眠りにくくなることも報告されています4)

 入眠前にリラックスする目的で音楽を聴くことはよいですが、テレビやラジオをつけっぱなしにして寝てしまうと、睡眠中に覚醒が促されてしまいます。夜眠る時には、できるだけ家の外からの騒音を遮断し、テレビやラジオは切って、睡眠中の覚醒を促す刺激を減らすようにしましょう。

快眠のための「温度・湿度」の環境

 睡眠中の寝具内の環境は、温度は33℃前後、湿度は50%前後が良いとされています5)。衣服や寝具で寝具内の温度は調節できるので、低い温度への幅は広く、室温としては13~29℃が許容範囲とされています4)。季節によって温度や湿度は変化するため、時期ごとに過ごしやすい、心地よいと思える範囲でエアコン等を活用して温度、湿度は設定しましょう。

 入眠時は、身体内部の温度が効率的に下がることによって眠気が促されますが、寝室の温度が低すぎると手足の血管は収縮して皮膚から放熱せず、身体の体温は高くなります。寝室の温度や湿度が高すぎても汗をかいて、体温調節がうまくいかなくなり、放熱できずに身体内部の温度は高くなります。温度が低すぎても高すぎても、効率的に身体内部の温度は下がっていかず、寝つきが悪くなり、睡眠中の覚醒が増えて質の良い睡眠が得られなくなります。

 同じ温度の環境下では湿度が高いと覚醒しやすくなり、深い睡眠が得られにくくなることが報告されています4)

参考文献

  1. 綾木雅彦 住宅照明中のブルーライトが体内時計と睡眠覚醒に与える影響―すこやかな概日リズムを保つための住宅環境照明の提案―住総研 研究論文集No.42,2015 年版(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  2. 北堂真子 良質な睡眠のための環境づくり -就寝前のリラクゼーションと光の活用- バイオメカニズム学会誌 Vol.29,No.4(2005)(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  3. 久野和宏ら 睡眠中の音環境の実態とその分析 日本音響学会誌 37(9), 430-436, 1981(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  4. 厚生労働省 健康づくりのための睡眠指針2014 平成26年3月(PDF)(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  5. 厚生労働省 e-ヘルスネット 快眠のためのテクニック -よく眠るために必要な寝具の条件と寝相・寝返りとの関係(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)

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