老化脳での遺伝子発現変動の時空間分析
公開月:2023年7月
マウスの老化での分子解剖ともいえる革新的技術論文が出ている。幼若期、成熟期、老年期の大脳新皮質での遺伝子発現を一細胞レベルで分析。そこで発現しているmRNAを網羅的に空間分析する。科学は一気にここまで来たかと思わせる圧巻のデータだ。老年性変化の多くは皮質下の白質層でのグリアと免疫系細胞の活性化に呼応する。老化脳では脳内炎症が顕著らしい。研究を統括するのはハーバード大学脳科学センターのシャオウェイ・ツアン。数年前に超解像顕微鏡での分子イメージングの技術革新をもたらした中国人だ。類似した論文がスタンフォード大学のトニー・ウィスコレイのグループからも出て、ほぼ同一の結論に至っているが、こちらは脳全体を見通していて奥が深い。
文献
Allen WE, et al., Cell. 2023; 186(1): 194-208; Hahn O, et al., bioRxiv. doi: https://doi.org/10.1101/2022.09.18.508419
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