健康長寿の生活習慣(ライフスタイル)とは
公開日:2016年7月25日 07時00分
更新日:2024年8月30日 13時20分
生活習慣と生活習慣病の関連
生活習慣病とは、「食習慣、運動習慣、休養、喫煙、飲酒等の生活習慣が、その発症・進行に関与する疾患群」とされており、悪しき生活習慣が招く病気のことを指します。健康長寿の最大の阻害要因ともいわれています。
例えば、食習慣の乱れによる生活習慣病を見てみると糖尿病、肥満、高脂血症、高尿酸血症、循環器病、大腸がん、歯周病などがあがります。この他にも、運動習慣で言えば糖尿病、高脂血症、肥満、高血圧症があがり、喫煙では肺がんなどの呼吸器系の疾患や循環器疾患、飲酒ではアルコールによる肝障害などがあがります1)。
つまり、いずれも慢性的な病気であり、死亡率が比較的高い病気でもあります。そのため、生活習慣を改善することは、多くの生活習慣病を予防することにつながり、ひいては健康長寿となることができるということになります。
健康な高齢者の生活習慣とは
健康長寿な高齢者は、どのような生活習慣を送っているのでしょうか。ある研究結果2)からその様子をみてみます。
まずは、百長寿者の喫煙の状況を見てみると、もともと喫煙をしていなかったという方がほとんどで、現在も喫煙をしているという方は全体の1~2%にとどまっていました。
飲酒に関しては元々飲んでいた割合も現在も飲んでいるという割合も喫煙者より多く、百長寿者も飲酒をしているということが伺えます。
食事については1日3食を食べるという方が9割以上を占め、間食をするのは男女ともに半数以下となっています。その食事内容を見ると、男性の6割、女性の4割が、家族と同じものを食べているという結果になっています。一方で、男性の3割、女性の4割が「柔らかくした食事」をしており、女性で1割、男性で0.5割の方は「流動食」を摂っていることが分かります。
食事内容を見ると、9割以上の人が毎食「主食」を摂っており、野菜、魚、乳製品、果実をほとんど毎日食べているという人が多かったようです。肉は週に1~2回に留めている人が多く見受けられました。
百長寿者の男性の5割、女性の4割が運動習慣を持っており、ほとんどの百長寿者がほぼ毎日、何かしらの運動を行っているという結果が出ています。百長寿者は全体の21%が自立した生活を送っているものの、年齢が上がるにつれて自立度は低下し、105歳ともなると自立度の低下が顕著に見られました。しかし、自分の可能な範囲内で運動を行っている百長寿者が多くいるということがこの結果より伺えました。
また、休養に関しても男女ともに8割がよく眠れていると回答し、睡眠時間の平均は、男性8.9±2.2時間、女性9.1±2.1時間であり、男女間での有意差は認められませんでした。また男女ともに5~6割の人が自ら定時に起きるという生活をしています3)。
理想のライフスタイル
現在規則正しい生活を送っており、健康で長生きしている百長寿者の方々が、高齢期に差し掛かった70~80歳代ではどのような生活をしていたのでしょうか。
運動面で見ると5割の方がウォーキングや畑仕事、体操など何かしらの運動を行っており、このうち4割は毎日行っているようでした。
また、趣味をもって精力的に行動していた百長寿者も多く、勤労を生きがいとしていた方も多かったようです。
さらに食事面では40歳代から気を配っていたという方が多く、その内容は1日3回規則正しく、腹八分目だけ食べる、緑黄色野菜や肉、魚、卵など様々な食材をバランスよく摂取していたようです。
さらに、百長寿者が長寿のために心がけていたことは、食事に気を付け、規則正しい生活を送る、休養睡眠をしっかりとり、適度に運動する、さらには物事にこだわらず、おおらかな気持ちで過ごしていくというものでした。
これらのことから、生活習慣病を予防する理想的なライフスタイルが見えてくるのではないでしょうか。百長寿者の多くは高齢期に差し掛かった時点から、健康長寿を意識して生活習慣に気を配り、日常生活を過ごしていたことが見受けられます。気づいたところは少しずつ生活習慣を見直していくことで、健康長寿の仲間入りを果たすことができるのではないかと考えます。