福祉用具貸与とは
公開日:2019年2月12日 14時05分
更新日:2019年2月12日 17時26分
福祉用具貸与とは1)2)3)
福祉用具貸与とは、利用者(要介護者、要支援者)ができる限り自宅で自立した日常生活を送ることができるよう、福祉用具の利用を介護保険で支援するサービスです。指定を受けた事業者から、利用者の心身の状況、生活環境、利用者の要望等をふまえ、適切な福祉用具をレンタルできます。これにより、日常生活上の便宜を図り、家族の介護の負担軽減などを図ります。
福祉用具貸与の対象品目1)2)3)
介護保険で貸与可能な福祉用具は以下の13品目です。
- 車いす
- 車いす付属品
- 特殊寝台
- 特殊寝台付属品
- 床ずれ防止用具
- 体位変換器
- 移動用リフト(つり具の部分を除く)
- 認知症老人徘徊感知機器
- 手すり
- スロープ
- 歩行器
- 歩行補助杖
- 自動排泄処理装置
ただし、要介護度によって、実際に介護保険を利用できるかどうかが変わります。例えば、「車いす」「車いす付属品」「特殊寝台」「特殊寝台付属品」「床ずれ防止用具」「体位変換器」「移動用リフト(つり具の部分を除く)」「認知症老人徘徊感知機器」においては、要支援1、2、要介護1の方は原則的に介護保険給付の対象となりません。
また、福祉用具は原則貸与としていますが、例外として、貸与になじまない性質のもの(他人が使用したものを再利用することに心理的抵抗感が伴うもの、例えば、腰掛便座等)に関しては、特定福祉用具販売とし、保険給付の対象としています(ただし、原則年間10万円を限度)4)。
福祉用具貸与の見直し2)
福祉用具は、利用者の身体状況、福祉用具の機能の向上等に応じて交換ができるように、原則貸与とします。福祉用具貸与は、市場価格で保険給付されており、同じ商品でも貸与事業者ごとに価格差があります。
また、2018年度介護報酬改定により、福祉用具貸与の見直しが行われました。
福祉用具貸与価格の上限設定等
2018年10月から全国平均貸与価格の公表や貸与価格の上限が設定されることとなりました。これは極端に高い貸与価格を排除し、適切な貸与価格を確保することを目的としています。
- 貸与価格の上限設定は、商品ごとに、「全国平均貸与価格+1標準偏差(1SD)※」とします。
- 新商品については、2019年度以降、3ヶ月に1度の頻度で同様の取扱いとします。
- 全国平均貸与価格や設定された貸与価格の上限については、概ね1年に1度の頻度で見直しすることとします。
- 全国平均貸与価格の公表や貸与価格の上限設定は、月平均100件以上の貸与件数がある商品について適用とします。
これらは、施行後の実態を踏まえつつ、実施していくことになります。
- ※ 標準偏差2):
- 標準偏差とは、データの散らばりの大きさを表す指標であり、「全国平均貸与価格+1標準偏差(1SD)」は上位約16%に相当(正規分布の場合)。
福祉用具の機能や価格帯の異なる複数商品の掲示等の義務
2018年度介護報酬改定により、利用者が適切な福祉用具を選択する観点から、運営基準を改正し、福祉用具専門相談員に対して、以下の事項が義務づけられました。
- 貸与しようとする商品の特徴や貸与価格、当該商品の全国平均貸与価格を利用者に説明すること。
- 機能や価格帯の異なる複数の商品を利用者に提示すること。
- 利用者に交付する福祉用具貸与計画書をケアマネジャーにも交付すること。
福祉用具貸与の利用料金
福祉用具の費用は対象品目によって異なります。貸与費用の1割を利用者が負担します。利用負担は原則1割ですが、一定以上の所得のある者の場合は2割又は3割負担となります。
また、要介護度別に1ヵ月の支給限度額が決まっているため、他の介護サービスとの組合せの中で限度額に応じた福祉用具をレンタルする必要があります。どのような福祉用具が必要になるのかについては、理学療法士、作業療法士、看護師、ケアマネジャー等の専門家に相談するとよいでしょう。
福祉用具貸与の上手な活用法
福祉用具を利用する場合には、購入とレンタルを使い分けていきます。継続的に長く利用できるものは購入し、身体機能の状態によって定期的に交換する可能性があるものはレンタルすると効率よく福祉用具を利用できます。
福祉用具の貸与の費用については、複数貸与減額制度があります5)。この複数貸与減額制度は1人の利用者が2つ以上または3つ以上の福祉用具をレンタルする場合に数量により減額することや、一体的に使用されるものを組み合わせた場合(例:特殊寝台と特殊寝台付属品を貸与する等)に減額することができます。組み合わせ方によって、単体よりもセットでレンタルする方が安くなることがあります。
福祉用具は標準価格等が設定されていないので、福祉用具の貸与を行っている複数の事業者に福祉用具の種類毎に自己負担額を確認し、最も安い事業者から貸与を受けることをお勧めします。レンタル商品の中でも特に、介護用のベッドなどは、購入すると高く、その人が使わなくなると不要になるものがあります。こうした福祉用具は、上手にレンタルを活用していくと良いでしょう。
逆に、勧められてレンタルしたが、使用していないものなどは、遠慮せずに不要であることを伝え、利用を停止することも検討しましょう。
福祉用具のレンタルを行う際は、福祉用具の専門相談員から、機能や使用方法等について十分な説明をうけましょう。また、レンタル品の故障やトラブルの際にも、交換などの対応を迅速に行うところを選びましょう。