特定福祉用具販売・購入について
公開日:2019年2月12日 14時00分
更新日:2019年2月12日 17時32分
特定福祉用具販売・購入について1)2)3)
福祉用具はレンタルするものと購入するものがあります。特定福祉用具販売は、利用者が可能な限り自宅で自立した日常生活を送ることができるよう、指定を受けた事業者が、入浴や排泄に用いる福祉用具を販売することです。
これらの福祉用具は「特定福祉用具」と呼ばれており、貸与になじまない性質のもの(他人が使用したものを再利用することに心理的抵抗感が伴うもの、使用によってもとの形態・品質が変化し、再利用できないもの)として、介護保険を利用して購入することが可能となります。
利用者はこれらの福祉用具を利用することで、日常生活上の便宜を図り、家族の介護の負担軽減などを図ります。
特定福祉用具販売の対象品目1)2)3)
特定福祉用具販売の対象品目は直接肌に触れることが予測されるもので、他の人が使用したものを再利用することに抵抗のある用品です。具体的には次の通りです。
- 腰掛け便座
- 自動排泄処理装置の交換可能部品
- 入浴補助用具
- 簡易浴槽
- 移動用リフトのつり具部分
この5品目は特定福祉用具とされており、介護保険を利用して購入することができます。ただし、これらは介護保険を利用して購入するため、破損した場合を除き、同一種目を複数購入することができません。
特定福祉用具販売の対象者
特定福祉用具販売は要介護の認定を受けた方が対象となります。
なお、要支援者の場合は、「特定介護予防福祉用具購入」となります。
特定福祉用具購入のしくみ2)4)
福祉用具購入の限度額は、毎年4月1日から翌年3月31日までの1年間で、合計10万円までです。介護保険を利用することにより65歳以上の方は1割、または一定以上の所得のある場合は2割、特に所得の高い場合は3割となります。40歳から64歳までの方は1割となります。
支払いの流れは、利用者がいったん全額を支払った後、「福祉用具購入費支給申請書」を市区町村の担当窓口に提出すると、費用の9割(一定以上所得者の場合は8割又は7割)が介護保険から払い戻されます。この方法を「償還払い(しょうかんばらい)といいます。
特定福祉用具の購入を行う時の注意点
特定福祉用具は都道府県の指定を受けている事業者で購入する必要があります。指定を受けていない場合には介護保険の対象とならないため、全額自己負担となります。また、10万円を超えた額については、全額自己負担となります。また、購入できるのは同一年度内で1品目あたり原則1回までとなっています。
なお、指定を受けた事業者でも、福祉用具専門相談員から福祉用具に関する専門的な知識に基づく助言などを直接受けられない「通信販売」や「インターネット販売」等での購入は、介護保険給付の対象となりません5)。
特定福祉用具販売・購入に至るまで6)
介護保険を利用して福祉用具を購入するためには、次のような手順が必要となります。
1.ケアマネジャーに相談
お住まいの最寄りの地域包括支援センターもしくは居宅支援事業者のケアマネジャーに福祉用具の購入について相談します。
2.「福祉用具サービス計画書」作成
ケアマネジャーが利用者の希望、心身の状況および置かれている環境をふまえて福祉用具サービス計画書を作成します。福祉用具サービス計画書には利用目標を達成するための具体的なサービス内容、福祉用具の機種と当該機種を選定した理由、関係者間で共有すべき情報 (福祉用具使用時の注意事項等)等が記載されています。
3.申し込み
利用者に説明と同意を得たうえで、指定を受けた福祉用具事業者に申し込みをします。この事業者には、「福祉用具専門相談員」による福祉用具のレンタルや購入に関するアドバイスを行っているので相談してみるとよいでしょう。
4.商品到着、支払
商品が到着したら一旦は、自己負担で費用全額を支払います。
5.介護保険の利用申請
全額自己負担で支払った後、「福祉用具購入費支給申請書」を市区町村の窓口に提出します。
6.介護保険分の還付
利用金額の9割分(所得に応じて、8割、7割の場合もある)が指定口座に振り込まれます。
適切な福祉用具の選択
福祉用具を購入する際には、要介護者本人にとってどのような用具が必要か、十分に吟味することが重要です。そのためには、本人の能力を客観的な視点でみることのできる、理学療法士、作業療法士、看護師、ケアマネジャー等の専門家に相談し、アドバイスを受けると良いでしょう。また、特定福祉用具購入において支給対象とならない場合もあるので購入する前にケアマネジャー等に確認しましょう。
参考文献
- 牛越博文監修:図解 介護保険のしくみと使い方がわかる本. 講談社, 東京都, 2018年, P101