派遣報告書(権秀明)
派遣者氏名
権 秀明(けん しゅうめい)
所属機関・職名
国立長寿医療研究センター・流動研究員
専門分野
遺伝学、神経変性疾患
参加した国際学会等名称
Neuroscience 2019
学会主催団体名
Society for Neuroscience
開催地
アメリカ シカゴ
開催期間
2019年10月19日から2019年10月23日まで(5日間)
発表役割
口頭発表
発表題目
Sur deficiency increases the vulnerability to the age-related neurodegeneration in Drosophila
スルフォニル尿素受容体欠損がもたらす老年性神経変性への脆弱性
派遣先学会等の開催状況、質疑応答内容等
米国神経科学学会は、神経科学分野において規模が最も大きな学会であり、毎年恒例の年会は世界各地からの神経学者と研究者の大集会になります。
私は本学会で口頭発表を行い、この2~3年間の研究成果を海外の研究者や学生に発信することができました。特に、皆様は発表内容の一つである様々な神経変性疾患にみられるTDP-43の話題に興味を持ち、発表後はオーガナイザーや他研究者からTDP-43に関する質疑を受けました。発表時間は短かったが、私の研究発表を理解して質問をしてくださる先生達に感謝します。
今まで、私は加齢に伴う神経変性疾患、特にアルツハイマー病と加齢性海馬硬化症に興味を持って、研究を進んできました。この機会を借りて、学会では関連研究領域の先生・研究者の発表をきいて、大変勉強になりました。
本発表が今後どのように長寿科学に貢献できるか
アルツハイマー病をはじめとする認知症はいまだに早期診断方法も根本治療の方法は確立されていません。過去の記憶が欠落していくという状況は患者自身にとっても、また傍で見ている家族にとっても辛いことであると同時に、高齢者の身体的、精神的健康が維持できない状況は日本社会にとっても大きな損失であると思われます。そのために、可能な限り認知症の病態を解明し、そのリスクを高める要因を把握したいと思います。本研究は、アルツハイマー病疾患モデルショウジョウバエの神経変性を増悪化する遺伝子を見出し、その背後にある分子メカニズムを明らかにしつつあります。これらの結果は、アルツハイマー病、加齢性海馬硬化症の発症メカニズムの解明に繋がると期待できます。