筋肉・赤筋・白筋
公開日:2016年7月25日 11時00分
更新日:2019年2月 1日 16時35分
骨格筋と筋線維
ヒトが活動する時、その主体となるのは骨格筋です(リンク1参照)。ヒトのからだには約400種類の骨格筋があり、骨格筋は筋線維とよばれる直径約20-100μmの非常に細い細胞の集合からできています。
筋線維は、構造上の特徴や収縮速度の違いなどから分類することができます。その一つに赤筋と白筋に分ける方法があります。
赤筋と白筋は文字通り赤い筋線維と白い筋線維を指し、見かけ上の色の違いから筋線維を分類しています。この色の違いは、ミオグロビンという色素タンパクの量の違いによります。
赤筋(遅筋)と白筋(速筋)
赤筋と白筋は、収縮速度の違いからそれぞれ遅筋と速筋として分類される場合もあります。骨格筋は筋線維が収縮することで力を発揮します。
収縮速度の遅い遅筋は、長い間収縮し続けることができ、主に長時間の持続的な運動に適しています。
収縮速度の速い速筋は、素早く大きな力を発揮することができ、瞬発的な運動を行うときに活躍します。
収縮のエネルギーとなるアデノシン三リン酸(ATP)の合成能力の違いを指標として骨格筋を染色すると筋線維の種類の違いがよくわかります。この筋線維タイプの分類は、魚において遠方を周遊するマグロやカツオなどの遠海魚は赤身が多く、近海の海に生息するタイやヒラメは白身であることにも例えられます。
赤筋、白筋の割合には個人差
さて、ヒトの骨格筋は単一の筋線維で構成されることは少なく、筋繊維の横断面図の画像がしめすとおり異なるタイプの筋線維がモザイク状に分布しています。
どのタイプの筋線維が多いかは個人により異なり、赤筋の割合の多い人、あるいは白筋の割合の多い人がいます。
例えば、スポーツ選手の筋線維のタイプ別構成比を調べますと、長時間走り続けるマラソン選手では赤筋が多く、瞬発的な力の必要な短距離(100m)選手では白筋の多いことが報告されています。
白筋は加齢とともに減少
筋線維タイプの構成比の特徴を加齢との関係でみてみると、高齢になると白筋が減少するといわれています。
白筋の特徴は、素早く収縮し大きな力の発揮できることでした。高齢者の動作の特徴として、動きがゆっくりとなり、筋力の弱くなることが挙げられますが、その要因の一つに白筋の加齢に伴う減少が関係すると考えられています。但し、加齢に伴う白筋の減少は生理的に避けられないことか、使わないから減るのかについては現在もまだはっきりしていません。
ヒトのからだは適応力を持ち、使えば発達しますが使わなければ衰えてしまいます。いつまでも活動的でいることが、高齢になっても機敏な若々しい動きを保つ一つの方法といえるかもしれません。