心臓病(心筋梗塞・狭心症など)の予防のための食事とは
公開日:2016年7月25日 12時00分
更新日:2019年8月 5日 16時13分
心臓病とは
心臓病にはさまざまなものがありますが、心筋梗塞や狭心症はその代表的な病気です。厚生労働省の人口動態統計によると心疾患は日本における死因の第2位(平成28年)を占めています1)。
これらは自覚症状がないまま進行し、ある日突然発作に襲われて死に至ることもあります。主な原因は動脈硬化をはじめ、内臓脂肪の蓄積による肥満によって高血圧や高血糖状態も関係します。
また、戦後大幅に増加した食の欧米化による脂肪の過剰摂取、運動不足、ストレスも原因です。
心臓病の原因
心臓病の原因は動脈硬化をはじめ、高血圧や高血糖状態が長期間続くことで、動脈の血管壁にプラークというコレステロールなどの物質が沈着し、粥状硬化(じゅくじょうこうか)※1の原因になります。
また、高血圧状態は血管の弾力性を失い、弱めてしまいます。高血圧だと動脈硬化になりやすく、動脈硬化だと高血圧にもなりやすくなります。さらに血糖値が高い状態が続くと、血管を傷つき、動脈硬化が促進されます。
- ※1粥状硬化(じゅくじょうこうか):
- 粥状硬化(じゅくじょう こうか)とは、動脈の血管壁にLDLコレステロール(悪玉コレステロール)が入り込んでしまうために、お粥のようなドロドロとした固まりである「粥腫(じゅくしゅ)」が発生してしまう動脈硬化のこと。
心臓病予防のための食事とは
心臓病予防のための食事は、エネルギー、蛋白質、脂質、糖質(炭水化物)、ビタミン、ミネラルなどの栄養素を適正量摂取するとともに、バランスよく摂取することが必要です。さらに食物繊維、ポリフェノール、植物ステロール※2など非栄養素食物成分の摂取についても配慮することが必要です2)。
- ※2植物ステロール:
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植物ステロ-ルとは、フィトステロ-ル(phytosterol)とも呼ばれ、動物ステロ-ルであるコレステロ-ルと非常に似通った構造をしています。植物ステロールは血中コレステロ-ル値を下げる成分として期待されています。とうもろこし、ごま、ピーナッツ、大豆に多く含まれています。用語説明
心臓病予防のための食事について、ポイントを8項目にまとめました2)3)。
心臓病予防のための食事
- 低脂肪
- 糖質控えめ
- 適性カロリーの食生活
- 減塩(1日6g未満)
- 不飽和脂肪酸を多く含む青魚を食べる
- 野菜から食物繊維、ビタミン、ミネラルを補う
- 適量のアルコール摂取(日本酒1合)
- 適量のカフェイン摂取
- 低脂肪の食事にすることで適正体重を維持でき、肥満予防になります。また動物性脂質やトランス脂肪酸を控えることで、LDLコレステロールを抑えられます。
- 糖質を控えることは血糖値のコントロールだけでなく、中性脂肪の上昇も抑えます。中性脂肪が増加するとLDLコレステロールが増加しやすくなります。
- 減塩をすることで高血圧を予防し、心臓への負担も軽減できます
- 過度のアルコールやカフェイン摂取は神経を興奮させ、心臓に負担をかけてしまいます。
心臓病のリスクを上げる食べ物
飽和脂肪酸
肉や乳製品などの動物性の脂肪酸(魚は除く)です。
ラードやヘッドなどの肉の脂肪、ベーコンやコンビーフなどの肉の加工品に多く含まれます
トランス脂肪酸
マーガリンやショートニングを使用するクッキー、パン、ケーキ、ファーストフード、加工食品などに多く含まれます。
飽和脂肪酸やトランス脂肪酸を過剰に摂取し続けると、血中のLDLコレステロールが増加します。
心臓病の予防になる食べ物
青魚
サバ、サンマ、イワシなどの青魚にはDHAやEPAなどの不飽和脂肪酸が多く含まれています。DHAは動脈硬化、高血圧の予防、LDLコレステロールの低下の働きがあります。また、EPAはDHAと同様の働きの他に、血栓ができるのを防ぎ(抗血栓作用)、血流を良くしてくれます。中性脂肪を下げる働きもあります。2日に1回もしくは週に1~2回は青魚を摂取するようにしましょう。
野菜、果物
野菜(きのこ類、海藻類、芋類も含む)や果物には食物繊維、ビタミン、ミネラルなど心臓病の予防に役立つ栄養素が多く含まれています。
食物繊維は血中の余分なコレステロールや塩分を排泄してくれる働きがあります。また、食物繊維が多い食品は血糖値の上昇を抑えます。満腹感も与えてくれるので、過食を防ぎ肥満予防も期待できます。きのこ類や海藻類は食物繊維を多くみ、低カロリーの食材です。
動脈硬化はLDLコレステロールが活性酸素によって酸化され、酸化LDLコレステロールとなり、蓄積された状態です。
活性酸素を除去する働きがあるのが野菜に含まれるビタミンA、ビタミンC、ビタミンEです。その他機能性成分であるポリフェノールなどにも抗酸化作用はあります。
野菜にはミネラルの一種であるカリウムが含まれています。ナトリウムを排泄し、血圧を下げる働きがあります。アボカド、ほうれん草、さつまいも、キウイなどに多く含まれています。
果物や芋類は食物繊維やカリウムが多く含まれていますが、糖質も多い食品です。血糖値や中性脂肪が高い方は控え、適量を守りましょう。
大豆製品
豆腐や納豆などの大豆製品は低脂肪、ビタミン、ミネラルを含みます。ミネラルの一種であるマグネシウムはカルシウムと一緒に摂取することで、血圧を調整します。また納豆に含まれるナットウキナーゼは血栓を溶かす作用が非常に強く、動脈硬化をはじめ、心臓病の予防に役立ちます。
ただし、抗血液凝固剤(ワーファリンなど)を服薬中の方は、ビタミンKと拮抗作用があるので納豆は控えましょう。