薬と食べ物の相互作用
公開日:2016年7月25日 09時00分
更新日:2023年8月16日 14時03分
薬と食べ物の相互作用とは
薬と食べ物、食品には食べ合わせや飲み合せの悪いものがあります。薬を摂取した後、飲食物が医薬品の作用や副作用に影響を及ぼし、医薬品の効力や副作用が増強されたり、減弱されたりし、健康を害することもあります。
相互作用を起こす薬と食べ物の代表的な組み合わせ1)
飲んでいる薬の作用や副作用を強めてしまう食品
グレープフルーツ2)
グレープフルーツの果肉に含まれる成分(ベルガモチンやジヒドロキシベルガモチンなどのフラノクマリン類)が消化管で薬物代謝を阻害し、薬物の血中濃度を上昇させ、薬が効きすぎてしまいます。そのため血圧低下、頭痛、めまいなどの症状が現れます。果実だけでなく、グレープフルーツジュースでも影響があるのでジュースでの飲用は控えます。
同じかんきつ類でもオレンジ、レモン、みかんでは相互作用の可能性は低いですが、スウィーティーやブンタンはグレープフルーツと同様に相互作用を引き起こします。
相互作用にかかわる主な薬剤
カルシウム拮抗薬、高脂血症治療薬、催眠鎮静剤、精神神経薬
カフェイン
緑茶、紅茶、ウーロン茶、コーヒーなどカフェインを含む飲み物は服用する薬によって作用が異なります。
精神神経薬、ベンゾジアゼピン系薬では体内のカフェインの分解を抑えることで中枢神経刺激作用(神経過敏、いらいら、不眠など)が現れることがあります。
強心・気管支拡張薬キサンチン系薬では中枢神経刺激作用が増強することがあります。またカフェインがテオフィリンなどの体内代謝を抑制することもあります。
チーズ、ワイン
薬剤がチーズやワイン、ビール、そらまめに大量に含まれるチラミンの分解を妨害するため、チラミン中毒(顔面紅潮、頭痛、急激な血圧上昇など)が現れることがあります1)。
相互作用にかかわる主な薬剤
消化性潰瘍治療薬、抗結核薬、精神神経薬三環系抗うつ薬
アルコール
アルコールは多くの薬と吸収や代謝などの段階で影響し、血中濃度を大きく変動させるので、アルコールでの服薬は避けます。
相互作用にかかわる主な薬剤
精神神経薬、糖尿病用剤、解熱鎮痛剤
飲んでいる薬の作用や副作用を弱めてしまう食品
クロレラ、納豆、緑黄色野菜
クロレラ、納豆、緑黄色野菜にはビタミンKが多く含まれています。抗血栓薬であるワルファリンは肝臓でビタミンK依存性の血液凝固因子を阻害することで、抗凝血作用、血栓形成の予防作用があります。ビタミンKを多く含む食品を摂取すると、薬の効果を弱めてしまい、血液凝固が起こりやすくなります。ただし緑黄色野菜は通常の食事で摂る量は問題ありませんが、青汁などで1度に摂取する場合には控えます。
相互作用にかかわる主な薬剤
抗血栓薬
牛乳、ヨーグルトなど乳製品
抗菌薬(ニューキノロン系、テトラサイクリン系、セフェム系)の成分が牛乳のカルシウムと結合して薬の吸収や作用を低下させます。服薬後2時間程度は乳製品の摂取は控えます1)。
また、消化性潰瘍薬や骨粗鬆症(こつそしょうしょう)薬では高カルシウム血症などの副作用が現れることがあります。
サプリメントなどの健康食品
また、サプリメントなどの健康食品の成分も医薬品と相互作用が現れます。医薬品との相互作用のある健康食品は、セントジョーンズワート、トウキ、ニンニク、ビンロウジ、イチョウ、朝鮮人参、カバ、ピペリン、タンジン、マリアアザミ、ノコギリヤシなどです3)。
炭酸飲料・清涼飲料水4)
その他、コーラなどの炭酸飲料(pH2.5~2.9)や清涼飲料水(pH3~4)などの酸性飲料は医薬品によっては相互作用があります。たとえば、アスピリンを酸性飲料で服用すると通常よりも吸収が遅くなります。また、一部の抗菌薬剤では吸収が早くなり、血中濃度の上昇で副作用が現れます。オレンジジュースなどの酸性飲料では薬の苦味が増すこともあります。
相互作用を起こさないためにはどうすればよいか
医師の指示に従って服用していれば問題ありませんが、調剤薬局やドラッグストアで薬をもらう時には薬剤師に処方箋のチェックをしてもらい、食品や食べ物との相互作用はないか確認しましょう。
お薬手帖を毎回持参し、健康食品を利用するときは必ず確認しましょう。食べ物よりも健康食品は1回に摂取する量は少なくても、薬と相互作用を起こす成分が多く含まれていることもあります。
健康食品(サプリメント含む)は似たような商品でも、含まれている成分は異なります。わからない時は必ず薬剤師に確認してもらいます。