がん予防のための食事とは
公開日:2016年7月25日 11時00分
更新日:2019年2月 1日 15時39分
がんとは
現在がんは2人に1人は何らかのがんにかかると言われ、日本人の死因第1位でもあり、その割合も年々増加しています。厚生労働省の平成27年の人口動態統計によると、男性では1位肺がんで、次いで胃がん、肝臓がん、大腸がんです。女性では1位大腸がん、次いで胃がん、肺がん、膵臓がんとなっています。
がんは恐ろしい病気と思われていますが、定期的ながん検診の受診によって、早期発見、早期治療していくことができます。
私たちの体は60兆個もの細胞からできていますが、日々、活性酸素などの毒性のある物質によって細胞が傷つけられています。体内には細胞を修復、回復する働きはありますが、免疫力が低下するとがん細胞を消滅させることができなくなります。そして、細胞に過度なダメージが加わることで、遺伝子が傷つき、がん化した細胞が増え、塊となって周囲に広がっていきます。
がん細胞ができるきっかけは、1つではなく、大気汚染、紫外線、ウイルス、喫煙、食事など複数関わります。がんは完全に防ぐことはできませんが、喫煙、食事、ストレス、運動など日常生活を振り返ることで、がんになりにくくする、すなわち予防することができます。
がん予防のための食事とは
現在がんのリスクを低下させる因子、上昇させる因子がわかってきています。食事の基本は一汁三菜のバランスの良い食事です1)2)。
- 植物性食品を中心に多くの種類を食べる
- 野菜や果物をたくさん食べる
- 多種類の穀物、豆類、根菜類を食べる
- 肉類は1日80g以下
- 脂肪は動物性脂肪食品(飽和脂肪酸)を控え、植物性脂肪から適度にとる
- 食塩は成人で1日6g以下
- アルコールは控えめ
- 食品は新鮮なうちに食べる
- 食品添加物や残留農薬に気を付ける
- 焦げた食品は控える
がんのリスクを上げる食べ物
- アルコール:肝臓がん、大腸がん、乳がん、肺がん、食道がん
- 塩分:胃がん
- 肉類:大腸がん、乳がん
塩魚や干物など塩分が多い食品によるがんリスクが高くなる原因は、魚、野菜、漬物などの食品成分が胃の中の硝酸と反応して、生成されるニトロソ化合物が日本人に最も多い胃がんのリスクを上げることによるものと言われています3)。
多量の飲酒習慣や熱い食べ物ばかり食べていると、食道粘膜が傷つけられてしまうからとも考えられています。特に1日の飲酒量が増えていくと、お酒を飲まない人よりも2倍以上高くなる傾向があります4)。
大腸がんは動物性タンパク質の加熱などから生成される発がん性物質によるものと言われています。そのため保存、加工肉の摂取量が多いとリスクが高くなります4)。
がんの予防になる食べ物
- 野菜:肺がん、胃がん、大腸がん、乳がん
- 果物:肺がん、胃がん、乳がん
- カロテン:肺がん
- ビタミンC:胃がん
- 食物繊維:大腸がん(結腸のみ)
アメリカ国立がん研究センターでは、天然の植物中に存在する、がん抑制作用のある成分を主に、がん予防効果のある食品、約40種類をピックアップして、図1のとおりデザイナーフーズピラミッドを作成しました。デザイナーズピラミッドでは上位にある食品ほど、がん予防の効果が高いと考えられています。
がん予防のある食品はビタミンA、ビタミンC、ビタミンEを含む野菜、果物、植物性油脂のほかに機能性成分(ポリフェノール、カロテノイドなど)を含む食品を取り入れることです。ポリフェノールやカロテノイドには抗酸化作用があり、体内の活性酸素を除去する働きがあります。
緑黄色野菜に含まれるβ-カロテンの摂取量が多い人は肺がんの発症リスクが低いと言われています。またビタミンD、カルシウム、葉酸(ようさん:ビタミンB群の一種)等の摂取が大腸がんのリスクを下げるという報告もあります。
厚生労働省でも1日350gの野菜の摂取が目標とされています。毎食小皿1~2皿の野菜料理を取り入れていくと野菜が補え、がん予防にも役立ちます。
参考文献
- がん研究振興団体「がんを防ぐための12か条」
- 世界がん研究財団「がんを防ぐ食生活14か条」