食物アレルギーの食事や調理のポイント
公開日:2016年7月25日 00時00分
更新日:2019年2月 1日 17時43分
食物アレルギーとは
食物アレルギーとは、アレルギーの原因となる食物を摂取した後に、食物中に含まれるたんぱく質などが消化管から吸収され、アレルギー反応を引き起こすことです。食物アレルギーの主な症状は皮膚や湿疹、かゆみ、じんましんなどの皮膚の症状が多く見られ、その他、喉のかゆみ、口、唇などの違和感や腫れ、腹痛、下痢、呼吸困難、目の腫れなど様々症状が現れます。
アレルギー症状が現れるのは比較的早く、食物摂取後1~2時間以内で、特に15分以内に現れることが多いです。
また、アレルギーがひどくなると、いくつもの症状が現れ、血圧低下や意識障害になどのアナフィラキシーショックを引き起こし、最悪死に至ることもあります。
食物アレルギーを引き起こしやすい食品
現在厚生労働省では27品目が食物アレルギーを引き起こしやすい食品とし、その中でも「そば・落花生・乳製品・卵・小麦・えび・かに」の7品目は特に発症数、重篤度が高いことから特定原材料とし、加工食品などの原材料として使用した際には、表示義務があります。
また、「あわび・いくら・鮭・鯖・いか・くるみ・キウイフルーツ・りんご・大豆・カシューナッツ・ごま・鶏肉・豚肉・牛肉・ゼラチン・まつたけ・バナナ・山芋・桃・オレンジ」の20品目は特定原材料に比べると、症例数や重篤な症状を表す者が少ないため、任意表示とし表示を奨励しています。
食物アレルギーの調理や食事ポイント
食物アレルギーの方は微量でもアレルゲンが含まれていると、アレルギー症状を発症するので、アレルギー除去食を行っていきます。
ただし除去食をする際には、アレルギー専門医の診断を受け、除去食の程度を決めていきます。
卵や牛乳などの乳製品のアレルギーの場合、これらを控えるとたんぱく質やカルシウムが不足してしまうので、肉や魚、大豆製品などでたんぱく質を補うなど、代替をして栄養素を過不足なく補います。
外食や加工食品の場合、原材料がわからないものもあります。原材料を確認して食べるようにします。また加工食品の場合、添加物にも大豆や乳由来のものもあるので、表示は確認します。
食品中に含まれるアレルゲンは少量摂取しただけでもアレルギーを発症するので、鍋やまな板、包丁などの調理器具はアレルギー用と通常用を区別します。使った調理器具はしっかりと洗います。アレルギーとなる食材が混入しないように、気をつけて調理をします。
栄養素のバランスを整えるときには6つの基礎食品群を利用し、除去したことで不足した栄養素を補うようにします。6つの基礎食品群は栄養成分が似ている食物を6つの群に分類したものです。
六つの基礎食品群
- 1群・・・魚、肉、卵、大豆、大豆製品
- 2群・・・牛乳・乳製品、海藻、小魚
- 3群・・・緑黄色野菜
- 4群・・・淡色野菜、果物
- 5群・・・穀類、いも類、砂糖類
- 6群・・・油脂、脂肪の多い食品
食品除去の目的は原因となる食品の回避を長期間続けるのではなく、できるだけ早く耐性を獲得して、症状を起こさずに食べられるようになることです。
食品は生や生に近い状態はアレルギーを引き起こしやすいので、卵などはしっかり加熱調理して、アレルゲン性を減らして食べるようにします。
食物アレルギーの食材について
- 魚介類は鮮度が落ちると、ヒスタミンが増えてアレルギー反応に似た症状を引き起こすので、新鮮な食材を使用します
- アレルゲン除去食では代替食材を利用します。大豆アレルギーではしょう油、みそを控えますが、ひえ、きび、あわなど雑穀だけで作られたしょう油、みそは使うことができます。
- 小麦アレルギーの場合はパン、うどんなど主食になる食べ物や、ハンバーグのつなぎやケーキやクッキーなどのお菓子に気をつけますが、小麦の代替品としてタカキビの一種であるホワイトソルガム、タピオカ粉、上新粉、米粉などに代替することで、食べられる幅が広がります。
- ターメリックやクミンなどが入っているカレー粉には小麦粉が含まれていることもあるので、購入するときは原材料表示を確認します。
- アレルギー食材以外は様々な食材をまんべんなく取り入れることが大切です。卵は卵黄よりも卵白に含まれるたんぱく質によってアレルギーが引き起こされます。卵はアミノ酸のバランスも良いです。アミノ酸を補うためにも卵1個の代わりに肉30g、魚30~40g、大豆製品では木綿豆腐100gを卵と同じたんぱく質量として取り入れるようにします。