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閉経後の骨粗鬆症

公開日:2016年7月25日 09時00分
更新日:2019年6月11日 13時30分

閉経後の変化

 女性は誰しも40代後半~50代前半で卵巣の機能が停止し、閉経を迎えます。つまり妊娠可能な期間を終える時期なのです。

 40代に入った頃から基礎代謝は低下し中年太りになりやすく、自律神経のアンバランスのため自律神経失調症を起こしやすくなります。動脈硬化症や骨粗しょう症もこの時期から少しずつ進行することが多いです。

女性ホルモンと骨量

 骨はカルシウムの銀行とも呼ばれていて、体内のカルシウムの99%を貯蔵し、また血液中のカルシウムを一定に保っています。一方、カルシウムは体内で合成できないので、食事から摂取したりその貯蔵を引き出して血液中のカルシウム濃度を一定にしようとします。つまりカルシウムという預金をしたり引き出したりというバランスがとれているのが理想です。

 そして女性ホルモンであるエストロゲンは、女性の骨からカルシウムが引き出されるのを防ぐという重要な役割をになっています。ところが、40代以降、閉経が近づくにつれて、エストロゲンの分泌が低下します。それと同時に骨からカルシウムがどんどん引き出され、もろくなっていきます。ついには骨はスカスカになり、骨折しやすい「骨粗しょう症」という病気になってしまいます。

 骨全体が弱っているため、一度折れた骨がなかなか元に戻らず、日常生活に支障をきたしたり寝たきりの原因になったりします。つまり女性は、男性に比べて老化に伴う原因に加え、閉経ということでも骨粗しょう症になりやすいと言えます。

骨粗しょう症の治療

 背中や腰が痛かったり、背中が丸くなったり身長が縮んだようであれば、早めに診察を受け、自分の骨の状態を知りましょう。治療は以下に述べる項目が有効です。

  1. カルシウムの多い食品を摂取する。
  2. 家事、30分くらいの散歩、買い物などを毎日できる限り行う。
  3. 日光浴をする。
  4. 薬物療法

薬物治療としてのエストロゲン

 骨はしっかりした組織ですが、常に新陳代謝をしており、骨の形成と破壊をバランスよく行なっています。そしてエストロゲンというホルモンは、以下のような働きがあり、骨の形成を促し、骨の破壊を抑える作用をもっています。

  1. カルシウムを骨につなぎとめるコラーゲンを助ける。
  2. 骨を形成する骨芽細胞を助け、骨を破壊する破骨細胞を抑える。
図:骨を形成する骨芽細胞を助け、骨を破壊する破骨細胞を抑える様子を表す。

 ただしエストロゲンはホルモン製剤であるため、骨量を増加させる効果だけでなく、閉経後の女性の諸症状の軽減も期待できます。そして乳癌や心疾患などに対する注意を怠らず、低用量で使用することが望ましいと思われます。

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