骨粗鬆症の症状
公開日:2016年7月25日 14時00分
更新日:2019年6月11日 13時21分
骨粗鬆症というだけでは、とくに症状はありません。骨粗鬆症により骨折がおこると、その部分に疼痛、腫脹、変形、などの症状をみとめます。
骨粗鬆症では、全身の骨が折れやすくなります。なかでも、脊椎圧迫骨折(せきついあっぱくこっせつ)、大腿骨近位部骨折、橈骨遠位端骨折(とうこつえんいたんこっせつ)、上腕骨近位端骨折など、通常折れにくいような太い骨の骨折を高頻度に認めます。
ここでは、骨粗鬆症に特徴的な骨折の症状について述べます。いずれも、整形外科でレントゲンなどの画像検査をうけることで診断がつきます。
脊椎圧迫骨折(せきついあっぱくこっせつ)
背骨がつぶれるような形の骨折で、骨粗鬆症でもっとも多く認めます。日本人女性では70~74歳で25%、80~84歳で43%に認めたという報告(参考文献)もあります。
重いものをもつ、大きな段差で足をつく、尻もちをつく、咳やくしゃみ、腰を伸ばした拍子、などの軽微な外力で受傷する方が多いようです。ふとした拍子に強い背部痛が出現し、1週間以上続くような場合には、圧迫骨折の可能性があります。
骨折に気がつく患者さんは全体の1/3にすぎないという報告もあり、気がつかないうちに受傷している(無症候性椎体骨折)ことが多いようです。いつの間にか「背中が丸くなった」「背が縮んだ」「腰痛が続いている」という場合には、すでに圧迫骨折をきたしている可能性があります。
大腿骨近位部骨折(だいたいこつきんいぶこっせつ)
骨粗鬆症による骨折のなかで2番目に多いのが太ももの付け根の骨折です。大腿骨頸部骨折(だいたいこつけいぶこっせつ)と呼ばれることもあり、ほとんどの場合、転んで殿部を打った拍子に受傷します。毎年10数万人の患者さんが発生しているという報告があります。
大腿骨近位部骨折では、受傷後の痛みや、安静による筋力低下などにより、骨折部が治癒したあとに車椅子、寝たきりや、閉じこもりになってしまう方が多いことがわかっています。寝たきりに伴い肺炎などの合併症が増加する影響もあり、受傷者の約10%は1年以内に死亡するという報告もあり、社会的問題となっています。
橈骨遠位端骨折(とうこつえんいたんこっせつ)
2本ある前腕骨のうち、親指側にある骨の、手首付近での骨折です。転んで手をついて転倒した場合に高頻度に受傷します。
上腕骨近位端骨折(じょうわんこつきんいたんこっせつ)
上腕骨の肩関節付近での骨折です。転倒、肩の打撲、などを契機に受傷します。打撲後に肩周囲の腫れが強く、痛みがつづく場合に疑われます。
参考文献