骨粗鬆症の診断
公開日:2016年7月25日 12時00分
更新日:2019年6月11日 13時24分
骨粗鬆症の診断は、骨粗鬆症に特徴的な脆弱性骨折(ぜいじゃくせいこっせつ)の有無、および骨密度の数値を参考に行われます。
診断がついた場合、疾患などによらない骨粗鬆症(原発性骨粗鬆症)か、もしくは疾患による骨粗鬆症(続発性骨粗鬆症)か、の鑑別が行われ、その結果をもとに治療方法が検討されます。
骨粗鬆症の診察
診察は以下の流れで行われます。
1.問診
食事・運動・飲酒・喫煙などの生活習慣や、これまでの骨折・病気の既往、骨粗鬆症の原因となりうる薬剤使用歴、年齢や閉経の時期について確認します。
2.身体診察
身長と体重、背骨の変形、背部痛の有無などについて確認します。
3.画像検査
レントゲンやMRIなどによる画像検査を行い、骨折の有無、およびその時期について確認します。
とくに痛みがない場合でも、背骨のレントゲン撮影は重要です。脊椎圧迫骨折の患者さん全体の2/3は、受傷時に気がついておらず、レントゲンで初めて骨折に気がつく「無症候性椎体骨折」といわれます。
4.骨密度の測定
超音波や、レントゲン(DXA法またはMD法)、CTなどの機械を用いて測定します。測定の部位は、大腿骨の付け根や腰椎、手の骨などが用いられます。
5.血液・尿検査
内科疾患の有無を確認します。また、骨粗鬆症が疑われる場合、血液や尿中の骨関連マーカーの数値をはかることで、骨形成と骨吸収のバランスをはかることができます。これらにより、適切な治療薬の選択が可能となります。
6.鑑別診断
骨粗鬆症の原因になる疾患、または骨粗鬆症による骨折と紛らわしい疾患の有無を確認します。
骨粗鬆症の診断基準
骨密度検査と既往歴を参考に、以下の1または2を満たす場合、骨粗鬆症と診断されます。
- 骨密度が若年成人平均値の70%以下
- 骨密度が若年成人平均値の70%〜80%(骨量減少)で、脆弱性骨折の既往を伴う
鑑別診断
骨粗鬆症以外の腰背部痛をきたす疾患、骨の変形きたす疾患、骨粗鬆症を招く疾患などに注意が必要です。
腰背部痛をきたす疾患
変形性腰痛症、腰部脊柱管狭窄症、脊椎分離・すべり症、腰椎椎間板ヘルニア、内臓疾患(膵疾患・腎疾患など)など
骨の変形をきたす疾患
脊椎側弯症、椎体奇形、昔の怪我、転移性腫瘍など
骨粗鬆症をまねく疾患(続発性骨粗鬆症)
糖尿病、動脈硬化、慢性閉塞性肺疾患、内臓疾患、内分泌疾患、栄養不良、薬剤性など