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トレーニング:有酸素運動とは

公開日:2016年7月25日 16時00分
更新日:2019年2月 1日 15時05分

有酸素運動とは

有酸素運動のウォーキングをする女性の写真。

 有酸素運動とは、ウォーキングやジョギング、エアロビクス、サイクリング、水泳など、長時間継続して行う運動を指します。これらの運動は、運動中に筋を収縮させるためのエネルギー「アデノシン三リン酸(ATP)」を、体内の糖や脂肪が酸素とともに作り出すことから、有酸素運動と呼ばれます。

 食事で摂取したエネルギー源のうち、グリコーゲン(糖質)は主に肝臓や骨格筋に貯蔵され、余った分は中性脂肪として貯蔵されます。そして、私たちは運動時に貯蔵されたグリコーゲンを二酸化炭素と水に分解し、その過程で産生されたATPをエネルギー源として使います。しかし、体内に貯蔵されているグリコーゲン量には限界があるため、グリコーゲンのみでは長時間運動を続けることができません。そこで、体脂肪を分解してエネルギー源にする方法に切り替えます。体脂肪を分解するには大量の酸素が必要となるため、酸素を取り入れながらエネルギー源を産生するシステムを繰り返します。これが有酸素運動です。

 体内に貯蔵された体脂肪は、リパーゼという酵素によって遊離脂肪酸という物質に分解されます。遊離脂肪酸は血液にのって筋に運ばれ、ミトコンドリアで分解されATPを産生します。体脂肪は一定量以上体内に貯蔵されているため、酸素が供給され続ける限り、エネルギーを産生し続けることが可能となります。また、体脂肪を分解するリパーゼは、体温が高くなると活性が高めるため、運動で体温が上昇し血流が多くなると、ますます体脂肪を燃焼するようになります。一度体脂肪の燃焼が始まると、その後も脂肪を燃焼しやすい状態を数時間継続することができます。

有酸素運動の目的

 有酸素運動では、体脂肪の燃焼に加え、呼吸循環器系の機能の向上が期待できます。長時間運動を続けるためには大量の酸素が必要となりますが、酸素を体内に運ぶためには心臓と肺の働きが重要になります。心拍数は上限が決まっているため、より多くの酸素を血流にのせて送り出すためには心拍出量を多くする必要があります。心拍出量の増大のためには、心筋(心臓のまわりの筋)の筋力向上が必要となり、それは有酸素運動(持久力)トレーニングで高めることができます。有酸素運動を行う目的は、体脂肪の燃焼の他にも持久力向上を主に行われます。

有酸素運動の効果

 体脂肪の中でも、内臓脂肪は健康に様々な悪影響を及ぼします。内臓脂肪自体からアディポサイトカインという炎症物質が分泌され、アディポサイトカインの働きにより、高血糖、脂質異常、高血圧、動脈硬化などが発症、進行します。有酸素運動は体脂肪をエネルギー源として使い燃焼させるため、内臓脂肪も同様に減少させることができます。内臓脂肪量が減少することでアディポサイトカインの分泌も減少するため、高血糖、脂質異常、高血圧、動脈硬化の予防・改善につながります。有酸素運動には、様々な生活習慣病の原因を予防・改善する効果があります。

有酸素運動の種類

有酸素運動のエアロビクスエクササイズをする女性の写真。有酸素運動とは長時間継続して行う運動のこと。有酸素運動の種類としてウォーキングやジョギング、エアロビクス、サイクリング、などがある。有酸素運動の効果・メリットは体脂肪をエネルギー源として使い燃焼させるため、内臓脂肪を減らし、様々な生活習慣病の原因を予防・改善する効果がある。

 有酸素運動は長時間継続して行える運動を指します。代表的な有酸素運動として、ウォーキング、ジョギング、ランニング、サイクリング、水泳、エアロビクスダンスエクササイズなどが挙げられます。他にも球技やレクリエーションスポーツも適しています。人によって体力が異なるため、運動強度の設定を行うことでより効果的に運動を継続することができます。

生活習慣病予防に効果的な有酸素運動とは

 健康のための有酸素運動では個人の体力に合わせて「FITT※」を設定することが大切です。ただ〇〇分運動し続けたから有酸素運動になる、というわけではなく、対象者の体力に合わせたFITTよって有酸素運動として効果があるかどうかが異なります。

 生活習慣病を予防するために効果的な有酸素運動は、「中等度の有酸素運動を少なくとも週5日、または高強度の有酸素運動を少なくとも週3日、あるいは中等度と高強度の有酸素運動を組み合わせた週3~5日の運動が推奨される」をされています1)

※FITT:
FITTとは、頻度(F:frequency)、強度(I:intensity)、持続時間(T:time)、運動の種類(T:type of exercise)です。

参考文献

  1. ACSM(アメリカスポーツ医学会).運動処方の指針 運動負荷試験と運動プログラム 原著第8版.南江堂.

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