わが国における世代間交流の活動 その1
公開日:2016年7月25日 12時00分
更新日:2019年2月 1日 16時53分
世代間交流の実態
2003年8月3~5日、早稲田大学の国際会議場において信州大学教授の草野篤子会長のもと世代間問題に関する国際フォーラムが開催された。筆者は基調講演とパネルディスカッションのファミリーテーターを務め、多くの参加者から学ぶことができた。
アメリカにはまだ数年しか経っていないが、Journal of Intergenerational Relationshipsという雑誌も創刊されており、この問題への本格的な取り組みが始まっている。この雑誌の編集長であるNewman博士は、アメリカの老年学の教育を専門とする学会(Association for Gerontology in Higher Education, AGHE, 1974年設立)の重鎮でもある。このように、アメリカの世代間問題の専門家の一部は老年学(とくに教育老年学)の専門家と重なるのである。
わが国における世代間交流の実態もこの国際フォーラムを通して一般に知らされることになった。さわやか財団などが先駆的な役割を示した子育て支援活動もその問題点も含め討論された。保育園児とデイサービスを受けている高齢者の交流のケースなども紹介された。東京都老人総合研究所(現 東京都健康長寿医療センター)の行っている小学生に対する絵本の読み聞かせ、お手玉などの伝統文化や遊びの伝承、その他多彩な活動が紹介された。
世代間交流と高齢者の社会貢献
ここで、高齢社会における世代間問題の意義についてまとめておきたい。最近の世代間交流の1つとして、学校の給食の時間に地域の高齢者を招待し交流を図ろうとする試みが各地で広まっている。これは大変すばらしいものである。しかし、一部の地域では「高齢者は身体も弱り、心も病人でいて、社会的に孤立している。みんなで慰めてあげましょう」といったコンセプトでスタートした。実際には、着飾ったかくしゃくとした高齢者が小学校の玄関から小学生に手を引かれ、照れ臭そうな顔をして教室に入っていくといった構図が垣間みられることとなった。
これは世代間交流の肯定すべき一側面とはいえるが全てではない。老年学(リンク1参照)からみると、世代間交流を考える上でもっとも大切なことは、これを高齢者の社会貢献として提えることである。高齢者の社会貢献には、有償労働からボランティア活動まであるが、世代間交流は高齢者のボランティア活動の最たるものである。
高齢者の社会貢献は社会にとっても必須のものであるが、それを行っている高齢者自身の余命を伸ばし、認知症や寝たきりを予防し、幸福感や生きがい感を高める効力があることが筆者たちの研究でも明らかになってきている1)。
21世紀は共生の時代である。自然と人類、民族と民族、そして1つの民族の中にあっては世代間の共生がもっとも大切である。それを回復しより改善していくための方法を探索しなければならない。
参考文献
1)柴田博:生涯現役 スーパー老人の秘密 技術評論社2006