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健診の基準値、正常値とは?

公開日:2016年7月25日 15時00分
更新日:2019年2月 1日 17時38分

 健診結果をもらうと、必ず基準値が記載されており、その値と比較して自分の数値が外れているかどうかで、「正常か、異常か?」を判断しているのではないでしょうか。

 しかし、ここには落とし穴があります。健診だけで、正常・異常を判定するものではなく、「基準値」の考え方を知ったうえで、対応策を考えることが大切です。

基準値の作り方

 では、基準値はどのように定められているのでしょうか? 大きく2つの決め方があります。

  1. 健常人のデータを集め、その検査値の分布から求めたもの:
    多数の健常成人に検査を行い、平均値から対象者の95%を含む範囲(平均±2SD)を基準範囲とするものです。肝機能検査や貧血検査などがこの方法で定められています。普通、40~60歳代のデータをもとに作成されているので、高齢者では基準範囲をややはずれていても、すぐに「異常」というわけではありません。
  2. 疾病の発症率などの疫学調査研究をもとに定められたもの:
    上(1)の方法でもとめられた基準値の範囲内にあっても、病気を起こす可能性が高いのであれば、それは「正常」とはいえません。そこで、生活習慣病の基準値は、有病率や将来疾病を起こす危険性に関する調査を参考にして、各学会が定めたものです。

肥満(リンク1参照)の基準値は、どのように定められたか?

 肥満の判定には、BMI(BMI=体重(kg)÷{身長(m)}2)が国際的に広く用いられています。BMIが25以上になると、血糖、血圧などの有所見率が2~3倍高くなるため、日本肥満学会の基準では、25以上を肥満と判定しています。

忘れてはならない、個人の基準値

 手法(1)では、もともと健常人の5%は基準範囲を外れていることになります。たとえば、貧血検査であるヘモグロビン値では、常に正常下限をやや下回っているが、他に病気もなく、長年にわたり数値が安定している人は、「個人の正常値」が低めであると判断します。

 またその逆に、「基準値内におさまっているから大丈夫」でもありません。1年前のヘモグロビン値が15.2mg/dl、今年が12.8mg/dlというように、いずれも基準値内ではあるが、1年間に2~3mg/dlも低下している場合には、病気がかくれているかもしれません。消化管出血、婦人科疾患などの可能性を考慮する必要があります。

健診結果表を見る時のポイント

健康診断結果を見る男性のイラスト。健診結果には、基準値が記載されていますが、基準値と比較するだけでなく、特に高齢者の方は基準範囲外であってもすぐに異常と判断せず個人の検査値の変化を経年的に観察していくことが重要です。

 基準値と比較するだけでなく、個人の検査値の変化を経年的に観察していくことが重要です。血糖、脂質などは、基準値以下でもじわじわと右肩上がりになり、いずれ疾病と判断されるレベルまで上昇してくる場合が多いのです。検査値をグラフ化して、その推移を確認するとよいでしょう。また、1項目ずつ判断するだけでなく、リスクの重複にも注目したいものです。メタボリックシンドロームはリスクの重複に着目して判定します。

統一される基準値

 これまで、検査機関ごとに微妙に基準値が異なることがありましたが、国では統一化の方向にむけて動いています。平成20年度から開始された「特定健診」では、全国統一の「保健指導判定値」、「受診勧奨判定値」を定めました。全国、どこで健診を受けても、正しい数値、適正な判断が得られるようになるよう、健診制度や医療の標準化が進みつつあります。

リンク1 「肥満」

関連リンク 「生活習慣病の健診は、なぜ必要なのか?」

関連リンク 「特定健診・特定保健指導」

関連リンク 「特定保健指導「積極的支援」とは?」

関連リンク 「特定保健指導「動機付け支援」とは?」

関連リンク 「特定健診の結果、受診を勧められたら」

関連リンク 「腹囲の基準は、なぜ85cm?」

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