高尿酸血症
公開日:2016年7月24日 10時00分
更新日:2019年6月12日 09時26分
高尿酸血症とは
尿酸は核酸の一種であるプリン体の代謝最終産物であり名前が示すように尿中に排泄されます。尿酸の産生過剰や排泄の低下によって血中の尿酸濃度が高まった状態が高尿酸血症です。一般的には血清尿酸値7.0mg/dl以上を高尿酸血症とします。
高尿酸血症の分類
高尿酸血症には、尿酸産生過剰型、排泄低下型、混合型に分類されます。
この分類に沿った診断は治療薬の選択にも大切なことですので、血液中の尿酸と尿中の尿酸を測定して診断されます。
高尿酸血症の合併症
高尿酸血症は腎臓に負担をかけますが、痛風の原因になるために予防と治療が必要となります。
痛風は昔「帝王病」ともよばれて、古来から知られた疾患です。痛風は長期間持続する高尿酸血症のために関節内に尿酸・尿酸塩が析出し、その結晶によって急性関節炎(痛風発作)を引き起こし、さらには腎障害をもたらす疾患です。
高尿酸血症は、脂質異常症、肥満、高血圧、虚血性心疾患、脳血管障害をともなうことにともなうことも多く、生活習慣病としての基盤を共有していることがうかがわれます
高尿酸血症の原因
尿酸産生過剰の原因としては、酵素異常による遺伝性の代謝疾患、造血器疾患、筋肉異常(さまざまな代謝・内分泌疾患にともなう)、薬剤(抗腫瘍薬、テオフィリン、イノシン)、高プリン食(プリン体の多い食事)などが上げられます。
高プリン食の代表的なものはビールです。ビールには酵母由来のプリン体が多く含まれていますが、最近はプリン体を少なくした発泡酒も出回っています。
一方、尿酸排泄を低下させる原因には、腎不全、脱水、尿崩症、ケトーシス、高尿酸血症、薬剤(サイアザイド、フロセミド、ニコチン酸、サイクロスポリンなど)があります。
肥満の場合には、混合型が多いようです。
高尿酸血症の治療
高尿酸血症の治療は、食事指導や薬物療法の最適化が基本となります。
痛風発作を繰り返す場合や痛風結節を認める場合、さらには、これらの症状がなくても血清尿酸値が9.0mg/dl以上の場合(いわゆる無症候性高尿酸血症) は薬物療法の適応となります。この場合、病型にあわせて尿酸産生抑制薬や尿酸排泄促進薬をもちいます。ただし、これらの薬剤によって急激に血清尿酸値を低下させると痛風発作を誘発させることがあるため、薬剤は少量からはじめて徐々に増量します。
また、痛風発作時(急性痛風関節炎)には、尿酸値を低下させる薬剤は使用せず、急性炎症に対して非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)による治療を中心とします。
高尿酸血症患者では尿が酸性に傾きやすく、尿路結石の傾向を惹起しますので、尿の酸性度を確認することは大切で、尿が酸性であり、尿中尿酸排泄量が多い場合や(800mg/day以上)、 尿酸排泄促進薬を使用している場合、または尿路結石を保有したりその既往がある場合には、酸性尿改善薬(クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム)を使います。
治療においては生活習慣の是正が基本で、薬物療法は副作用に注意して行うことはいうまでもありません。