ストレス緩和の運動とは
公開日:2016年7月25日 12時00分
更新日:2020年5月15日 13時52分
ストレスとは
ストレスとは、外側からかかる圧力によってこころや身体に歪みが生じた状態です。心や身体にかかる圧力を「ストレッサー(ストレス要因)」、ストレッサーによって心や体に歪みが生じ、心理面や行動面、身体面に現れる反応を「ストレス反応」、ストレッサーを受けた圧力によって生じた歪みを元に戻す速さを「ストレス耐性」といいます1)2)3)。
ストレッサーは日常生活で受ける様々な出来事や刺激であり、暑さ・寒さ・騒音・不快な臭い、人混みなどの「物理的なストレッサー」と、薬物・公害物質・酸素欠乏などの「科学的ストレッサー」、仕事上の問題・人間関係・ライフスタイルの変化・家庭や経済の問題などの「社会的ストレッサー」があります1)2)。
社会的ストレッサーは物理的ストレッサーや科学的ストレッサーに比べて心理的なストレス要因となりやすいと言われています3)。
ストレス反応が生じる状態が継続すると、ストレスによる適応障害やうつ、神経症、心身症などの障害や疾病へつながります1)。
ストレッサーによる心理面・行動面・身体面のストレス反応はそれぞれ、以下のような症状が現れます1)2)。
心理面
不安、イライラ、活気の低下、悲しみ、緊張、無気力、落ち込みなどの感情、思考力の低下、集中力の低下、短期記憶の低下、判断力・決断力の低下など
行動面
過食や拒食、飲酒量や喫煙量の増加、攻撃的な行動、引きこもり、消極的、泣く、幼児返り、チック、吃音、身だしなみに気を使わない、落ち着きがない、仕事でのミスが多くなるなど
身体面
関節痛、頭痛、肩こり、腹痛・胃痛、腰痛、動悸・息切れ、疲労感、食欲低下、便秘・下痢、めまい、しびれ、血圧の上昇、睡眠障害、目の疲れなど
ストレスと運動の関連
厚生労働省の「健康づくりのための身体活動基準2013」では、身体活動や運動が生活習慣病の罹患率や死亡率を低下させるとともに、気分転換やストレス解消につながり、メンタルヘルスの改善にも効果があるとしています4)。
こころや身体に現れるストレス反応はストレッサーを受けた時にこころや身体を守るための防衛反応です。いつでも戦うためや逃げるために交感神経系の働きを活発にして戦闘態勢を整えている状態です。心身の疲労を回復するための休息を行う反応はリラックス反応といいます。リラックス反応では副交感神経系の働きが活発になります。リラックス反応を得るには活動と休息のバランスがとれていること、ストレスから開放されることが必要です1)。運動で身体を動かすことは、気分の落ち込みの発散、心とからだのリラックス、睡眠リズムの改善などの作用をもたらします5)。
どんな運動がストレス緩和によいか
ウォーキング、軽いランニングやサイクリング、ダンスなどの身体に空気を取り込みながら行う有酸素運動がストレス緩和に適していると言われています。気分転換のために外に出て散歩をすることやリラックス効果が得られる緑の多い公園で活動的に過ごすことでも良いとされています。
運動強度は、身体が温まり、軽く汗ばむ程度で、「ああ、スッキリした」と思えるぐらいであり、運動時間は1日20分を目安にして、1回にたくさん運動を行うよりも継続することが大切であると言われています。
腹式呼吸でリラクゼーション効果の得られるヨガや、筋肉の柔軟性が促され、血流が改善することで筋肉のコリをほぐす作用のあるストレッチなどもおすすめです3)。
日々の生活の中でストレスは避けきれないものであり、多かれ少なかれストレッサーには遭遇します。ストレッサーを受けても、ストレスを溜めこんでしまわずに解消することも大切であり、趣味として楽しむことのできるレクリエーション要素を持つハイキングなどや、テニスや卓球などのスポーツもよいでしょう。趣味やスポーツを通して他の人と交流することも、新たな人間関係を生み、生活の幅を広げることにつながります。
運動を一生懸命に行いすぎてしまうと、かえって疲労し、次の日の生活にも差し支えてしまいます。無理せず、焦らず、やり過ぎずに適度な運動を続けるようにしましょう。