生活習慣病予防と運動
公開日:2016年7月25日 13時00分
更新日:2019年8月 1日 14時11分
生活習慣病とは
生活習慣病とは、不適切な食生活や、運動不足、過剰なストレス、過度の飲酒、喫煙などの生活習慣によってもたらされる病気の総称です。メタボリックシンドロームとしての肥満症や高血圧症、糖尿病、脂質異常症、動脈硬化症などが生活習慣病と呼ばれます。生活習慣病の重症化や合併症によって、脳血管疾患(脳梗塞・脳出血など)、虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞など)や糖尿病の合併症としての人工透析が必要な腎疾患、網膜症による失明など、重篤な死亡リスクの高い疾患を引き起こします。これらの重篤な疾患により、身体機能・認知機能・生活機能も低下して要介護状態へと進行していきます1)。
生活習慣病の予防方法
生活習慣病の予防は健康増進や疾病予防を図る一次予防が重要となります。生活習慣について30年以上前から世界に知られている「ブレスローの7つの健康習慣」を以下に示します2)。
ブレスローの7つの健康習慣
- 喫煙をしない
- 定期的に運動をする
- 飲酒は適量を守るか、しない
- 1日7~8時間の睡眠をとる
- 適正体重を維持する
- 朝食を食べる
- 間食をしない
厚生労働省では、生活習慣病予防として、運動施策の推進、栄養・食育対策、たばこ対策、アルコール対策、睡眠対策の情報などを掲載しています3)。
運動習慣を持つこと、適正体重を維持して主食・主菜・副菜を組み合わせた栄養バランスのとれた食事を規則正しくとること、塩分を控え、野菜や果物をとること、禁煙、節酒、質のよい睡眠をとること、ストレスとなる問題を解決することなどの生活習慣の改善を行い、健康寿命を延ばすことが生活習慣病の予防となります3)。
生活習慣病予防と運動の関連
不適切な食生活や運動不足などによって、内臓脂肪が蓄積し、高血圧、高血糖、脂質代謝異常などの生活習慣病が組み合わさり、動脈硬化が進展して脳梗塞、心筋梗塞、人工透析が必要となるリスクの高い病態をメタボリックシンドロームといいます4)。
日常の身体活動の増加や運動習慣を持つことは、厚生労働省の「健康づくりのための身体活動基準2013」でメタボリックシンドロームを含めた循環器疾患・糖尿病・がんなどの生活習慣病の発症や加齢に伴う生活機能低下のリスクを軽減できると示されています5)。
運動を行うことは、生活習慣病の予防だけではなく、ストレスを発散して気分転換を図ることができ、精神面への効果もあります5)。
生活習慣病予防のための運動の種類
厚生労働省の「健康づくりのための身体活動基準2013」での18~64歳の身体活動量の基準は、「強度が3メッツ以上の身体活動を23メッツ・時/週行う。具体的には、歩行又はそれと同等以上の強度の身体活動を毎日60分行う。」とあり、普通歩行、犬の散歩、そうじ、自転車に乗る、速歩き、子どもと活発に遊ぶ、農作業をする、階段を速く上がる、などの生活活動を積極的に行うこととしています。1日の目標歩数としては8,000~10,000歩となります5)。
18~64歳の運動の基準は、「強度が3メッツ以上の運動を4メッツ・時/週行う。具体的には、息が弾み汗をかく程度の運動を毎週60分行う。」とあり、ボウリング、社交ダンス、軽い筋力トレーニング、ゴルフ、ラジオ体操第一、卓球、ウォーキング、野球、ゆっくりとした平泳ぎ、バドミントン、ジョギング、ハイキング、サッカー、スキー、スケート、テニスなどの運動があります5)。
65歳以上の身体活動の基準では、「強度を問わず、身体活動を10メッツ・時/週行う。具体的には、横になったままや座ったままにならなければどんな動きでもよいので、身体活動を毎日40 分行う。」とあります5)。
厚生労働省の「健康づくりのための身体活動指針(アクティブガイド)」では今よりも10分多く体を動かすことを推奨しており、日常生活の中に組み込めるような散歩やジョギング、ラジオ体操、階段の上り下り、ストレッチや筋力トレーニングが運動の例として挙げられています6)。