定期健康診断
公開日:2016年7月25日 15時00分
更新日:2019年2月 1日 18時01分
動脈硬化の予防が健康長寿に
「人は血管とともに老いる」と言われています。血管のなかでも、特に加齢変化が起こりやすいのが動脈です。
動脈は、加齢とともに固くなり、あるいはコブができてしまうのです(動脈硬化)。そして、それが、脳卒中、心筋梗塞などの直接的な原因となります。そうなってしまうと、後遺症が残りますし、最悪の場合、命にも関わります。逆に言えば、動脈硬化(リンク1参照)を予防することが健康長寿につながるのです。
動脈硬化は、肥満、高血圧、脂質異常症(高脂血症)、糖尿病などの生活習慣病により促進されるので、それらを予防・管理することが大切です。そのためには、毎日の生活に留意することは言うまでもありません。
しかしながら、規則正しい生活であっても、体質的な問題のため、血圧が高くなったり、あるいは糖尿病になったりする場合もあります。
また、これらの異常は、通常、自覚症状がありません。それで、定期的な健康診断で健康状態を把握し、必要に応じて治療することが重要になってくるのです。以下に、動脈硬化予防上、重要な健康診断の項目をお示しします。
動脈硬化の予防に重要な健康診断項目
1 肥満度
体重(kg)/身長(m)2で算出される肥満判定用の指標です。肥満度22前後が最も病気になりにくく、25以上を肥満と判定します。25以上になると、高血圧、糖尿病などの内科的疾患の危険が高まります。平成20年度からはじまった特定検診(リンク2参照)では腹囲も測定します。
2 血圧
血圧は動脈の内圧です。血圧により、血液が循環しますが、高い血圧が持続すると、血管を障害し、その結果、動脈硬化の危険が高まります。
高血圧の基準値は、収縮期血圧140mmHg以上、かつ/もしくは拡張期90mmHg以上です。60歳以降は、特に収縮期血圧が高くなりやすい傾向があります。また、高齢者の場合、血圧変動の程度が大きいため、高血圧と判定するには、何回か血圧を測定することが必要です。
3 脂質
(1)LDLコレステロール(LDL-C)、HDLコレステロール(HDL-C)
血液中のコレステロールは、タンパク質と結合した形で存在し、その大半がLDL-Cとして存在します。過剰なLDL-Cは血管に蓄積し、動脈硬化を引き起こします(悪玉コレステロール)。一方、HDL-Cは、動脈硬化を予防する作用があります(善玉コレステロール)。
(2)中性脂肪(トリグリセライド)
中性脂肪は、過食、運動不足により生じた過剰なエネルギーより作られた脂質です。血液中の中性脂肪が高めの状態が続くと、特にお腹に蓄積(内臓脂肪)します。内臓脂肪も動脈硬化の危険を高めます。
血清脂質 | 正常範囲 |
---|---|
LDLコレステロール | 〜139mg/dl |
HDLコレステロール | 40mg/dl |
中性脂肪(トリグリセライド) | 〜149mg/dl |
(動脈硬化学会)
4 空腹時血糖値、グリコヘモグロビンA1c(HbA1c)
血糖は血液中のブドウ糖の濃度を表す指標で、血糖が通常より高くなってしまったのが糖尿病です。糖尿病はおろか、その前段階の予備群からも動脈硬化の危険が高まります。
空腹時血糖値100mg/dl以上、HbA1cが5.2%以上のとき、糖尿病予備群の可能性があります。