健康長寿ネット

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最大酸素摂取量が健康のバロメーター

公開日:2016年7月25日 14時00分
更新日:2024年9月 9日 16時49分

健康はどう評価するか1)

 健康の維持・増進には身体活動量を今よりも増やすことが必要とされています。身体活動量は長時間身体を動かす能力である全身持久力と強い相関関係があり、全身持久力を高めることが健康づくりに役立ちます。

 全身持久力の高い人と低い人とを比べると、低い人の方が高い人よりも3~4倍死亡率が高いことがわかっており、全身持久力を高めて身体活動量を増やすことができれば、肥満や高血糖、動脈硬化などの生活習慣病の予防にも有効です。また、身体活動量が高くなることで活性酸素などの体に有害な物質も作られにくくなるという利点もあります。

 全身持久力は最大酸素摂取量によって評価することができます。

最大酸素摂取量とは

ジョギングをしている男女の写真。最大酸素摂取量は、個人が摂取できる単位時間当たりの酸素摂取量(l/分、あるいは㎖/kg/分)の最大値のことです。身体活動量を高め、全身持久力を図るための指標である最大酸素摂取量を高めることは、健康に生活できる健康寿命を延ばすことを示す。

 「最大酸素摂取量は、個人が摂取できる単位時間当たりの酸素摂取量(l/分、あるいは㎖/kg/分)の最大値」2)です。

 身体を動かすためのエネルギーをつくるには酸素が必要で、最大酸素摂取量が大きいほど、強度の高い運動をより長く行うことができます。最大酸素摂取量は全身持久力を測る指標となるのです2)

 トレッドミル歩行・走行や自転車エルゴメーターを実施し、段階的に強度をあげたときの酸素摂取量を呼気ガス分析によって測定します。運動強度をあげると酸素摂取量も増加し、最大値が最大酸素摂取量となります2)

 最大酸素摂取量の測定には専用の機器や専門の測定者が必要となります2)

最大酸素摂取量の平均

 厚生労働省の運動所要量・運動指針の策定検討会による健康づくりのための運動基準2006~身体活動・運動・体力~報告書で、最大酸素摂取量と生活習慣病の関係が示された数々の文献の中から定められた生活習慣病予防となる健康づくりのための最大酸素摂取量の基準値が示されています(表1)。

表1:健康づくりのための最大酸素摂取量の基準値(㎖/kg/分)2)
20歳代30歳代40歳代50歳代60歳代
男性 40 38 37 34 33
女性 33 32 31 29 28

 さらに、生活習慣病の予防効果が得られた最大酸素摂取量の範囲も示されており、最大酸素摂取量が低い場合は、まずは範囲内の値に入ることを目指して、次に基準値を目指すことが推奨されます。最大酸素摂取量が基準値や範囲を超えている場合も生活習慣病予防が確実なものとなるように取り組むことが望ましいとされています(表2)。

表2:健康づくりのための最大酸素摂取量の範囲(㎖/kg/分)2)
20歳代30歳代40歳代50歳代60歳代
男性 33-47 31-45 30-45 26-45 25-41
女性 27-38 27-36 26-33 26-32 26-30

最大酸素摂取量と健康の関連

 身体活動量が多い人や運動をよく行っている人は総死亡、虚血性心疾患、高血圧、糖尿病、肥満、骨粗鬆症、結腸がんの罹患率や死亡率が低いといわれています。身体活動や運動はメンタルヘルスの改善や生活の質の改善、高齢者の寝たきりの予防にも効果があることもわかっています3)

 身体活動量を高めること、運動をよく行うことは健康に生活することのできる健康寿命を延ばすことにつながるのです。

 身体活動量を多くすることや運動をよく行うためには、より強度の高い運動を長い時間行うことのできる全身持久力が必要です。全身持久力を図るための指標である最大酸素摂取量を高めることは、健康に生活できる健康寿命を延ばすこととなるのです(図1)。

図1:最大酸素摂取量と健康の関連を示す図。最大酸素摂取量を高めることは健康長寿延伸につながる
図1:最大酸素摂取量と健康の関連

参考文献

  1. なぜ全身持久力が必要なのか -健康と全身持久力の関連性 厚生労働省e-ヘルスネット(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  2. 厚生労働省の運動所要量・運動指針の策定検討会による健康づくりのための運動基準2006~身体活動・運動・体力~報告書 厚生労働省(PDF)(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  3. 身体活動・運動 厚生労働省(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)

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