低血糖の対応と対処法
公開日:2016年7月25日 14時00分
更新日:2024年8月28日 15時06分
低血糖とは
低血糖とは、文字通り血糖値が低値になってしまっている状態をいいます。
よく、糖尿病をお持ちの方の多くは「血糖値がこれ以上高くなりすぎないように注意している」とおっしゃいます。しかし実際に糖尿病をお持ちの方にとって、最も注意しなくてもいけないのは、高血糖と同等かそれ以上に「低血糖になること」です。
低血糖になると血糖が正常値よりも低くなるため、全身がエネルギー不足となってしまい、意識の混濁や手足のしびれなど、様々な症状を引き起こし、最悪命にもかかわります。よって、高齢者糖尿病の方は高血糖と同等に、低血糖にも注意する必要があるのです。
高齢者の低血糖の特徴
高齢者がなぜ、低血糖にも注意しなくてはいけないのか。
その理由は、「加齢によって、より低血糖症状に気づきにくい」からです。人間の様々な機能の多くは20代をピークとして、徐々に衰えていきます。そのため、成人の方が低血糖症状を起こしているような状態でも、高齢者の場合は症状を感じることができず、気が付いた時には重篤な状態となってしまっていることがあります。特に糖尿病の場合は、血糖値が低い状態が続くと神経に障害が出てきて、通常よりも感覚が鈍くなってしまいます。よって、高齢者の低血糖は成人の方より注意が必要となります。
低血糖の症状
低血糖の代表的な症状としては、
- 冷や汗
- 手足の震え
- 顔面蒼白
- 頭痛
- 意識障害
などがあげられます。
しかし、この症状はあくまで一例であり、すべての方がこの症状に当てはまるとは限りません。
糖分は体中の様々な部分で使われているため、血糖が低いことで起こる症状も実に様々です。よって、「低血糖によって必ずこの症状が起こります」とは言えないのです。
そこで、低血糖症状の目安として覚えておきたいのが「普段と何か違う」という点です。「普段はあまり感じない頭痛がする」「なんか手足がしびれているような気がする」といったような、通常では感じることがない症状が出ている場合は、低血糖症状が出現している可能性がありますので、早めの受診もしくは血糖値の測定をお勧めします。
低血糖になる原因
低血糖になる原因として、おおまかに二種類が考えられます。
それは、「薬物療法による副作用」そして「生活習慣によるもの」です。薬物療法では、血糖コントロール目的のインスリン製剤や経口血糖降下薬によって過剰に血糖値が下げられてしまい、低血糖が起こります。一方、生活習慣によるものでは、糖分の摂取を過剰に控えたり、激しい運動を長時間にわたった場合などに起こります。
高齢者の場合は、特に生活習慣よりも加齢により薬が効きやすくなってしまうことで、低血糖になってしまうことが起こりやすくなっていますので、注意が必要です。
低血糖になったときの対処方法
低血糖となってしまった場合、「口から糖分を摂取できるかどうか」で対応が変わります。口から摂取できる場合には、ブドウ糖またはブドウ糖を含む飲み物を飲ませることで対応します。口から摂取できない場合には、すぐに医療機関を受診するとともに、可能ならば唇や歯肉の部分にブドウ糖を塗り付けることで対応します。
低血糖にならないための予防・対処方法
糖尿病とは、「血糖値のコントロールができなくなる」病気です。
そのため、糖尿病の方はどなたでも低血糖になるリスクがあります。よって、血糖値を下げるためと自己判断で過度に食事を制限したり、運動を頑張りすぎず、栄養士やリハビリ士など、専門家の指示通りに行うことが大切です。
特にインスリン注射や経口薬によって血糖値をコントロールしている場合、高齢者は成人期の方に比べると薬が効きやすい傾向にあるため、特に薬によって血糖値を下げる治療を受けている場合には、「低血糖になるリスクが大きい」ということを常に意識しておくことがまず大切です。
また、低血糖は最悪命にも関わるということを家族も把握し、万が一意識が混濁したりしたらすぐに対応できるよう、普段から体制を整えておくことも大切です。