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心筋梗塞

公開日:2016年7月23日 10時00分
更新日:2019年2月 1日 19時54分

心筋梗塞とは

 心筋梗塞とは、冠動脈狭窄部位が血液の固まり(血栓)により閉塞し、血液が突然途絶え、その部分の心筋に栄養や酸素の供給がなくなり心筋細胞が死滅し、収縮機能を失ってしまう病気です。発症1ヶ月以内を急性心筋梗塞と呼びます。

 動脈硬化の進んだ高齢者に多く、男性に起こりやすいといわれていますが、さらに加齢とともに女性の発生が高くなってきます。

 また、寒い早朝から午前中(6時~10時)に多く発症していることが判っています。これには、早朝高血圧症に深くかかわりがあると考えられています。

心筋梗塞の死亡率

 わが国の死亡順位の第2位は心臓病ですが、その中でも急性心筋梗塞の死亡率は高く20%弱で、死亡例の約半数は発症数時間以内に集中していて、そのほとんどが重症不整脈によるものといわれています。

 また、心筋梗塞の領域が全体の40%を越えると心原性ショック(生命を維持するだけの心臓機能がない状態)に陥り、死亡率はさらに高率となります。

心筋梗塞の症状

 急性心筋梗塞では、以下に示すような症状が特徴的に出現します。

  • 安静時とか労作時とかに関係なく、突然、全胸部に激しい痛みがおこり、15分以上続く
  • 持続性の胸痛と共に不安感、動悸、息切れ、冷汗、めまい、脱力感を伴う
  • 随伴症状:頸部や背部の痛み、顔面蒼白、冷汗、吐き気など
  • 稀に、無症候性心筋梗塞が存在する(糖尿病合併例に特徴的)

 しかし、高齢者では特徴的な症状が乏しく突然元気がなくなって救急外来を受診する場合があり注意が必要です。

心筋梗塞の合併症

 急性心筋梗塞の合併症として以下にに示す病状があげられます。特に致死性不整脈や心源性ショック状態を見逃すと致命的となるために注意深い観察が必要です。

  • 致死性不整脈:心室細動、心室性頻拍症完全房室ブロック、洞停止など
  • 急性心源性ショック:乳頭筋不全による僧帽弁閉鎖不全、心室中隔穿孔、心破裂
  • 心筋梗塞後狭心症
  • 心筋梗塞後心膜炎

心筋梗塞の予防

 心筋梗塞の予防は、高血圧、糖尿病、脂質異常症(高脂血症)になると、動脈硬化を引き起こしやすくなります。まずは生活習慣や食習慣を見直し、肥満を防ぎ、規則正しい生活を送ることが大切になります。

心筋梗塞の治療

 現在行われている急性心筋梗塞の治療法は次の通りです。

  • 抗凝固療法と抗血小板療法:心筋梗塞の原因が血栓であるため、可能な限り抗凝固剤や抗血小板剤の投与が必要。
  • 血栓溶解療法:冠動脈閉塞部の血栓を溶解する薬剤(血栓溶解剤)を用い、血流を再開する手段。 点滴静脈内投与と冠動脈内投与法がある。ただし、高齢者には脳出血や胃潰瘍などの出血性疾患に注意を要する。
  • 冠動脈内血栓吸引療法と冠動脈血行再建術。

 前述しましたように急性心筋梗塞は高率に死亡する疾患で早期の治療が必要となります。現在では可能な限り血行再建術(冠動脈造影を行い、冠動脈閉塞部位を確認します(図1)。さらに閉塞部位の血栓を吸引します(図2、図3)。次にバルーン(風船)やステント(金網)で閉塞血管を拡張します(図4)。ステントで拡張され血流が再開(図5)。

 この治療法はすでに確立され、実行されており、急性心筋梗塞での院内死亡率を減少することができました。

図1:左前下行枝近位部で閉塞していることを示す例の造影写真
図1:左冠動脈左前斜位血管造影写真。左前下行枝近位部で閉塞していることを示す例。

図2:ガイドワイヤー挿入後、血栓吸引を示す例の造影写真
図2:ガイドワイヤー挿入後、血栓吸引を示す例。

図3:吸引された冠動脈内血栓の写真
図3:吸引された冠動脈内血栓

図4:左前下行枝近位部にステントで閉塞血管拡張を示す例の造影写真
図4:左冠動脈左前斜位血管造影写真。左前下行枝近位部にステントで閉塞血管拡張を示す例。

左前下行枝近位部でステント拡張後血流再開を示す例の造影写真
図5:左冠動脈左前斜位血管造影写真。左前下行枝近位部でステント拡張後血流再開を示す例。

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