慢性閉塞性肺疾患(COPD)の症状
公開日:2016年7月25日 14時00分
更新日:2019年6月12日 10時19分
慢性閉塞性肺疾患(COPD)の症状
- 1日に何回も咳が出る
- 運動時、動作時に息切れをしやすい
- 透明~白色、黄色、緑色などの痰がみられる
- ゼイゼイ、ヒューヒューという呼吸音がする
- 体重減少
- 肺炎などの感染症にかかりやすくなる
- 頭痛
- 口すぼめ呼吸
- ビール樽状胸郭(胸郭がビール樽の様に膨らむ)
- チアノーゼ(血中酸素濃度が低下し、皮膚が紫~黒がかった色になる)
- ばち指(指先がバチ状に膨らみ爪が丸くなる)
慢性閉塞性肺疾患(COPD)の症状が起こるメカニズム
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、40歳以上の喫煙者または喫煙歴がある人に多くみられます。タバコの煙や大気汚染物質などの有害物質を長年吸い込み続けることにより、空気の通り道となる気管支や細気管支、その先にある酸素と二酸化炭素のガス交換を行っている肺胞に炎症が起こります。
気管支、細気管支に炎症が起こると、咳や痰の症状がみられるようになり、気管支に痰が溜まって空気の通り道が狭くなると、息をする時にゼイゼイ、ヒューヒューという呼吸音がするようになります。肺胞まで炎症が及ぶと、肺胞の壁が壊れて弾力を失い、酸素と二酸化炭素のガス交換が上手く行えなくなります。細気管支は狭くなり、肺胞は酸素を取り込めなくなるので、息切れを起こしやすくなります。また、息を吸えても吐くことができない状態となり、二酸化炭素濃度が増加して酸素濃度が低下し、努力性の呼吸や息苦しさが増します。
空気が肺の中に残るようになるので胸郭が広がってビール樽状胸郭や血中酸素濃度が低下することでチアノーゼ、ばち指がみられることもあります。
慢性閉塞性肺疾患(COPD)でみられる全身への影響
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は肺の炎症が起こる疾患ですが、炎症性サイトカイン※1の増加がみられ、全身性の炎症が起こります。息切れによって、運動量・活動量・食事量が低下することで生じる筋力や筋肉量の低下、低栄養、内臓脂肪型肥満に加えて、全身性炎症の影響を受けることで、貧血、骨粗鬆症、骨格筋機能障害、抑うつ、睡眠障害、メタボリックシンドローム、インスリン抵抗性など全身への影響がみられるようになります。インスリン抵抗性からはさらに、糖尿病や動脈硬化、心筋梗塞、狭心症、脳血管障害などの疾患を招くこととなります。
慢性閉塞性肺疾患(COPD)では、加齢と肺の機能障害による身体活動性の低下と全身性の炎症から骨格筋の機能障害(筋力低下、筋肉量低下)を起こし、全身に悪影響を与えて合併症や併存症※2をもたらします。全身の状態が悪くなることで、さらに筋力低下、筋肉量低下が進み、身体機能を悪化させるという悪循環を起こします。
- ※1 炎症性サイトカイン:
- 炎症を引き起こす原因となるタンパク質の一種
- ※2 併存症:
- 元の疾患が引き起こした疾患ではないが、一緒にみられる疾患
慢性閉塞性肺疾患(COPD)の急性増悪
ウイルスや細菌による感染症への罹患、大気中の有害物質やアレルゲンの増加などが原因となって急激な症状の悪化がみられることがあります。咳や黄色や緑色の粘り気が強い痰の増加、発熱、全身の痛みなどや、息切れが労作時だけでなく安静時にもみられるようになります。重症例では、急性呼吸不全を起こし、呼吸ができないほどの激しい息切れやチアノーゼ、冷や汗、体の震え、頻脈、意識障害がみられることもあります。