ロコモ体操
公開日:2016年7月25日 08時00分
更新日:2024年5月 9日 10時14分
ロコモ体操とは
ロコモ体操のロコモとはロコモティブシンドロームの略称で「運動器の障害のために移動機能の低下をきたした状態」1)で、2007年に日本整形外科学会によって提唱されました。
筋肉、骨、関節、軟骨、椎間板といった運動器に障害が起こって立つ・歩く機能が低下するロコモとなると、やがては日常生活や社会生活に支障をきたして要介護となるリスクが高くなります(図1)。
- ※ サルコペニア:
- サルコペニアとは、加齢に伴う筋量・筋力の低下のこと。「加齢性筋肉減少症」ともいいます(リンク1)。
ロコモを予防するための運動としてロコモチャレンジ!推進協議会では「片脚立ち」と「スクワット」の2つの運動を「ロコトレ」として紹介しています。ロコモパンフレットではロコトレプラスとして「ヒールレイズ」※1や「フロントランジ」※2、体操やストレッチなども紹介されています(図2)。
- ※1 ヒールレイズ:
- ヒールレイズは立ってつま先立ちをして、踵を下すことを繰り返します。ふくらはぎの筋力アップの運動です。
- ※2 フロントランジ:
- フロントランジは大きく片足を前に踏み出し膝を90度まで曲げる運動です。下肢の柔軟性アップ、下肢筋の筋力アップ、バランスアップを目指します。
これらのロコモを予防する運動を手軽に楽しく取り組めるように音楽に合わせて作成されたものが「ロコモ体操」で、自治体や団体が独自で作り、地域の方や団体内で実施されています。
仙台市の佐々木整形外科麻酔科クリニックの佐々木院長によって開発されたロコモ予防ソング「ロコモかしこもサビないで」3)(リンク2)は平成24年度「運動器の10年」世界運動・普及啓発推進事業応募事業で優秀賞を受賞しています。歌に合わせたロコモジムナスティックス(ロコモ体操)を東北福祉大学特任准教授の鈴木玲子先生が考案され、佐々木先生、鈴木先生によってロコモ啓発活動が行われています。
リンク2 「ロコモかしこもサビないで」歌詞 佐々木整形外科麻酔科クリニックロコモCD(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
ロコモ体操の「ロコモかしこもサビないで」の歌の歌詞には、ロコモ度を調べるためのロコモ25の項目にもある「横断歩道が渡り切れない」、「片足のまんまじゃ靴下が履けない」などのフレーズも出てきて、ロコモがどのような障害であるのかがわかりやすい歌詞になっています。ハワイアン調と音頭がミックスされたようなのどかな明るい曲調で、自然に身体を動かしたくなるような体操です。
ロコモ体操のやり方
佐々木先生、鈴木先生の「ロコモ体操」は、「ロコトレ」の「片足立ち」と「スクワット」が組み込まれた構成となっています。動画1の立って行うバージョンと動画2の椅子に座って行うバージョンとの2パターンがあります。
立って行うバージョン
動画1:ロコモジムナスティックス(ロコモ体操)東北福祉大学広報課(Youtube)4)
- ウォーミングアップとしてまずは手足や腰の関節をさすります。
- 片足立ちを左右32拍間ずつ行います。
- 段階に分けて腰を落としていきながらスクワットを行います。
- 股関節をしっかりと開きながら上半身を動かし、肩甲帯を開く運動を行います。
- 1~4の繰り返しを行います。
- 肘の屈曲、股関節の伸展、もも上げを組み合わせた運動を行います。
- 最後はバランスをとってシェーのポーズを決めます。
椅子に座って行うバージョン
動画2:ロコモジムナスティックス(ロコモ体操)椅子バージョン 東北福祉大学特任准教授 鈴木玲子(Youtube)5)
- つま先上げ、指パッチンを行いながら体を横に揺らします。
- 手足をさすります。
- 股関節を外側・内側に回して動かします。
- 手首足首の上げ下げや手足を同時に伸ばす運動、肩甲帯を開く運動など手足を同時に動かす運動を数種類行います。
- 3~4を繰り返します。
- 肘を反対の膝にタッチしてお腹をひねる運動を行います。
- 背伸びをして最後はシェーのポーズで決めます。
体操を行う方の身体レベルに合わせて立って行うか、座って行うかを選択できます。どちらの体操も普段なかなか大きく動かすことの少ない股関節をしっかりと動かして柔軟性を促し、スクワットや足あげで下肢の筋力アップを図ることのできる内容となっています。また、体幹の働きやバランスも同時に促せる体操です。
座って行う体操では隣の人と手を合わせて行う動きもあり、集団でコミュニケーションを図りながら行うことができます。
ロコモ体操はどこでできるか
各自治体や病院・クリニックなどの団体内や、地域の方を対象に行っている体操教室でロコモ体操は行われています。
また、YouTubeで「ロコモ体操」と検索するとほかにも自治体や病院などが独自で作成した「ロコモ体操」がアップされています。
他にも各市町村のホームページで理学療法士などが考案したオリジナルの「ロコモ体操」が紹介されていますので、自分の取り組みやすいお気に入りの「ロコモ体操」を見つけて挑戦してもよいですね。
参考文献
- ロコモパンフレット ロコモ チャレンジ!推進協議会 2015年版