ロコモティブシンドロームの治療
公開日:2016年7月25日 12時00分
更新日:2019年8月 2日 14時34分
ロコチェックでロコモティブシンドロームの心配のあった方、ロコモ度テストでロコモ度1であった方の治療、予防に有効なのがロコトレ(ロコモーショントレーニング)です。
ロコトレ(ロコモーショントレーニング)とは
ロコトレとは、「片脚立ち」と「スクワット」の2種類のトレーニングで、バランス能力をつけること、下肢の筋力をつけることができ、自分のレベルに合わせて安全に行えるトレーニング方法です。さらに自分の体力に合わせて「ヒールレイズ」「フロントランジ」が加えて行うとさらに効果的です。
まずは自分のレベルに合わせて「片脚立ち」と「スクワット」から始めることをお勧めいたします。毎日続けることで元気な足腰の維持につながります。
バランス能力をつけるロコトレ「片脚立ち」(図1)
- 机や壁、手すりなどに、片手を置いて支えにし、転倒しないように片脚立ちをします。
- 片脚をあげたまま、1分間保ちます。
- 片脚をあげている時は、真っすぐに姿勢を保ちます。片手の支えでは難しい方は両手を机について行いましょう。反対に少しの支えで片脚立ちができる方は、片手の指先だけをついて行ってみましょう。
片脚立ちのポイント
- 姿勢をまっすぐにして行うようにします。
- 支えが必要な人は、十分注意して、机に両手や片手をついて行います。
- 指を机についただけでもできる人は、机に指先をついておこないます。
- 左右の足を入れ替えて、左右1分間ずつ、1日3回行います。
下肢筋力をつけるロコトレ「スクワット」 (図2)
- 両脚を肩幅より少し広めに開いて立ちます。つま先は外側に30度ずつ開きます。
- 膝がつま先より前に出ない範囲で、お尻を後ろに引くように身体を下へと沈めます。膝はつま先と同じ方向を向いているようにし、太腿に力が入っていることを確認しながら行いましょう。
- ゆっくりと(深呼吸に合わせて)身体を元に戻します。1から3の動作
- を5~6回繰り返します。
- 立つ姿勢を保つことが難しい場合は、椅子に座り、机に両手をついて立ち上がる、座ることを繰り返して行いましょう。手の支えがなくても行える場合は、机から手を放して行いましょう。
スクワットのポイント
- 動作の最中は息を止めないようにします。
- 膝に負担がかかり過ぎないように、膝は90度以上曲げないようにします。
- 太ももの前や後ろの筋肉にしっかりと力が入っているか、意識しながらゆっくり行いましょう。
- 支えが必要な人は、十分注意して、机に手をついて行います。
- 1セット5~6回を1日3回行いましょう。
ロコトレに加えて行いたい運動
ふくらはぎの筋力をつける運動「ヒールレイズ」 (図3)
- 両足で立って踵をあげ、ゆっくりと踵を床に着けていきます。踵を上げすぎるとバランスを崩しやすくなるので気をつけましょう。
- 繰り返し10~20回を、1日2~3セット行いましょう。
- 立つバランスに不安のある方は椅子の背もたれや壁などに手をついて行いましょう。自信のある方は壁などに手をついて片脚で挑戦してみましょう。
ヒールレイズのポイント
- バランスを崩しそうな場合は、壁や机に手をついて行ってください。
- 踵を上げ過ぎると転びやすくなります。
- 1日の回数の目安としてはできる範囲で1セット10回~20回を2~3セット行います。
下肢の柔軟性、バランス能力、筋力をつける運動「フロントランジ」 (図4)
- 両手で腰を持ち、両足で立ちます。
- 片脚をゆっくりと、大きく前に一歩踏み出します。バランスを崩さない程度に踏み出しましょう。
- 腰を深く落としていき、前に出した脚の太腿が水平になるようにします。上半身は真っすぐに保ちます。
- 身体を上へと戻していき、前に出した脚を後ろへ戻します。
- 左右の足を変えて5~10回繰り返し、1日2~3セット行いましょう。
フロントランジのポイント
- 上体は胸を張って、良い姿勢を維持します。
- 大きく踏み出し過ぎて、バランスを崩さないように気を付けます。
ロコトレを行う際の注意点
- 毎日少しずつでも続けることが大切です。無理をせずに自分のペースで行いましょう。
- ロコトレ時に関節の痛みや違和感などがあれば、行っているトレーニング内容と症状を整形外科医に相談しましょう。
運動器疾患を伴う場合 のロコモティブシンドロームの治療
骨粗しょう症、変形性膝関節症や変形性脊椎症などの運動器疾患がみられる場合のロコモティブシンドロームの治療は、それぞれの疾患の治療も行います。痛みや炎症がみられる場合は安静にし、消炎鎮痛剤の湿布や飲み薬、骨粗しょう症の治療薬などの薬物療法、運動療法、温熱療法、装具療法(コルセットなど)などが行われます。
保存療法でも改善がみられない場合や日常生活が著しく障害されている場合などは、手術が行われることもあります。