健康長寿ネット

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ロコモティブシンドロームのケア

公開日:2016年7月25日 11時00分
更新日:2024年2月 8日 10時25分

腰痛対策・膝痛対策の体操

 ロコモティブシンドロームの心配がある方はロコトレ(ロコモーショントレーニング)を行うことが推奨されていますが、腰や膝の気になる症状がある方には腰痛対策、膝痛対策の体操を行うことがおすすめです。

※ ロコトレ(ロコモーショントレーニング):
2種類のトレーニングで「バランス能力」と「下肢の筋力」を改善することのできるトレーニング方法(リンク1参照)。

リンク1「ロコモティブシンドロームの治療」

腰が気になる場合

 長く歩き続けたり、立ったまま家事をしていたりすると、腰が痛くなってくる、重だるくなってくるなどの症状がみられる方は、体幹の筋肉(腹筋、背筋)が弱くなっている可能性があります。

 体幹の筋肉が弱くなると、腰や背中に過剰に力が入り、筋肉が縮んで硬くなっている可能性もあります。腰はお尻や太腿ともつながっているので、お尻や太腿の後ろの筋肉も縮んで硬くなります。

 腹筋などの身体の前面の筋肉と、背中や腰などの後ろの筋肉はお互いに働きあうことでバランスをとっています。硬く縮まった筋肉はストレッチングを行って柔軟性を促し、筋力が低下している筋肉は運動を行って筋力をつけることが大切です。

腰痛体操1

腹筋体操

 両膝を立てて仰向けに寝ます。あごを引いて、おへそを覗き込むように頭を持ちあげて止まり、5秒間数えてゆっくり元に戻します。自分のできる位置で良いですが、行える方は、45度まで頭を持ち上げてみましょう。

背筋運動

 うつ伏せに寝て、おへそより下の位置に枕を挟みます。あごを引いて、上半身を床から離して5秒間ゆっくり数えて元に戻します。床から10センチを目標に行ってみましょう。難しい方は背中に力が入っていることを確認してできるところまでやってみましょう。

腰と背中のストレッチング

 仰向けに寝て、片足を両手で抱えて胸の方へひきつけて止まり、ゆっくり10秒間数えてから、元に戻します。左右の足を入れ替えて行います。

太腿の裏側のストレッチング

 仰向けに寝て、両手で膝の後ろを支えて、股関節が90度になるように足をあげます。そこからゆっくりと膝を伸ばしていきます。膝が伸びたところでゆっくり10秒間数えてから膝を曲げます。左右の足を入れ替えて行います。

 それぞれ、10回ずつ、1日2セット以上行えると理想的です。

膝が気になる場合

 立ち上がる時やしゃがみ込むとき、長く歩いていたり、立ち続けたりした時に、膝の痛みやつっぱり感、違和感などがある時は、膝を伸ばして支える筋肉が弱くなっている可能性があります。膝を伸ばして支える筋肉が弱くなると、膝を伸ばして立つことが行いにくくなり、膝の後ろの筋肉が縮んできて、膝の曲げ伸ばしも行いにくくなります。膝を伸ばして支える筋肉は太腿の前の筋肉で大腿四頭筋と言います。大腿四頭筋の筋力をつける運動と、膝の曲げ伸ばしがスムーズに行えるような体操を行いましょう。

膝痛体操1)

大腿四頭筋の筋力をつける体操

 寝て行う場合は、仰向けに寝て、膝を伸ばしたまま、片方の足を床から10センチ程度浮かしてゆっくり5秒間数え、ゆっくり下ろします。左右の足を入れ替えて行います。腰を反らさないように気をつけて行いましょう。

 椅子に座って行う場合は、椅子に浅めに腰かけて、足首を直角にキープしたまま、片方の足の膝を伸ばします。膝を伸ばしたまま5秒間止まり、ゆっくり下ろします。左右の足を入れ替えて行います。

 寝て行う方法、座って行う方法のどちらか行いやすい方を20回、1日2セット行いましょう。

膝を伸ばす運動

 椅子に座って、片方の足の膝を伸ばし、足首を直角に反らしたまま、膝の上をゆっくりと押してふくらはぎの後ろを伸ばしましょう。そのまま、体を真っすぐに保ったまま前に少し倒すと太腿の後ろも伸ばされます。足の後ろ全体が伸びるようにしましょう。左右の足を入れ替えて行います。

膝を曲げる運動

 床に座り、両手で片方の足首を抱えてお尻の方に引き寄せましょう。痛みのない範囲で最大限引き寄せ、止まってからゆっくり元に戻します。左右の足を入れ替えて行いましょう。

 それぞれ、15~30秒間ずつを3回、1日1セット行えると理想的です。きつい場合は1回でも良いので毎日少しずつでも続けてみましょう。

生活習慣で気をつけること

 ロコトレの前後には、図1のようなラジオ体操などの軽い体操と図2のような全身の筋肉を伸ばすストレッチングを行って、怪我の予防を図り、運動後の疲労を溜めないようにしましょう。

図1:ゆるやかだが、大きな動きで筋肉や関節をほぐす軽い体操の例を示す図。膝の屈伸、浅い伸脚、上体の前後屈、体側、上体の回旋、背伸びの運動、手首・足首の回旋、軽い跳躍、深呼吸がある。
図1:軽い体操ゆるやかですが、大きな動きで筋肉や関節をほぐします1)
図2:20秒程度ゆっくり伸ばすことで、全身の筋肉や関節をほぐす例を示している図。ふくらはぎ、大腿部背面、大腿部全面、大腿部内側、臀・腰部、上背部、頸部、肩、上腕、手首の部位を示している。
図2:ストレッチング 20秒程度ゆっくり伸ばすことで、筋肉や関節をほぐします1)

 日常生活では、なるべく以下のようなことを心掛けて運動の機会を持ち、できるだけ外に出て活動的に過ごしましょう。今よりも毎日10分多く運動することを目指します。

  • 目的地までは早歩きで、階段を利用する
  • 雑巾がけなどの家事を積極的に行う
  • ストレッチや運動をする
  • 散歩に出かける
  • 施設やイベントを活用して運動する

 また、食生活にも気を配り、1日3回決まった時間に、炭水化物、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラルの栄養をバランスよく摂るようにしましょう。

参考文献

  1. 2015年度ロコモパンフレット ロコモチャレンジ! 日本整形外科学会公認 ロコモティブシンドローム予防啓発公式サイト

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