白内障の症状
公開日:2016年7月25日 14時00分
更新日:2019年2月 1日 15時07分
白内障の症状
白内障は水晶体が濁ることで起こる疾患ですが、濁っている位置や程度によって、見え方が異なります。同じ水晶体の中でも、光を通す部分は限られているため、光を通さない水晶体の周りの部分が濁った場合は、視力に影響を与えることはありません。
しかし、光を通す水晶体の中央部分がわずかにでも濁った場合は、見えにくくなったり、霞んで見えたり、ピントが合いにくくなります。ピントが合いにくくなった結果、ピントを合わせようとして目が疲れてしまう現象が起こります。
白内障によるものの見え方の変化
白内障で視力が0.1まで下がると、図1のとおり見るものすべてに薄いカーテンがかかっているような見え方になり、生活に支障が出てきます。気をつけたいことは、白内障を発症して放っておいた場合、すぐ目の前で手を振っていると感じたり、昼か夜かくらいの判断しかできないほどに、見え方が悪くなってしまうことです。
また、白内障がない人は、図2のとおり透明な水晶体を通して目の奥にある網膜にピントを合わせることが出来ますが、白内障の人は、図3のとおり濁った水晶体を通すため焦点がぼやけた状態になります。
目はカメラのレンズに置き換えて考えられますが、水晶体の濁りの程度による見え方の違いは、たとえば汚れたレンズで写真を撮ることを考えると、想像しやすいかもしれません。
白内障によりまぶしさを感じる理由
光をまぶしいと感じることも白内障の症状の特徴です。これは、図4に示すとおり、水晶体の濁りが瞳の部分に重なった場合、極端にまぶしく感じたり、明るい光を見ると像がとらえにくくなっている状態であり、夜間の運転は非常に危険です。その理由は、対向車のヘッドライトが目に当たったとき、まぶしさのあまり全体が見えなくなってしまい、大事故につながってしまう可能性があるためです。
まぶしいと感じるのは、濁った水晶体を通った光が、ピントを合わせることが出来ないまま、さまざまな方向に散ってしまうためです。
まだまだある白内障の症状
図5に示す白内障の症状には他にも、以下のようなものがあります。
- 像が二重・三重に重なって見える(複視)
- 瞳が白くなる
- 目に鈍い痛みが走ったり、頭痛がする
- 手元だけは良く見えるようになる
像が二重三重に重なって見える(複視)のは、水晶体の濁りがばらつくことで、水晶体が変形してレンズが歪み、いわゆる強い乱視状態になっていると考えられています。また、水晶体の瞳の中央が濁っている場合は、光を遮って二つに分けてしまうことから、像が二重三重に見えるとも考えられます。複視になっているかどうかは、片方の目を閉じて(隠して)何かを見てみるとよく分かります。
手元が見やすくなるのは、遠くが見えにくく、近くの方が見えやすい状態です。感覚としては、近視とよく似た状態であり、それまで老眼で手元が見えにくかった人が、まるで老眼が治ったかのような現象です。これは、水晶体の中央にある水晶体核の部分に白内障ができたためであり、この症状が近視によく似たような状態を作り出していると考えられています。
瞳の周りが白く見えるのは、白内障がかなり進行した状態であり、水晶体が完全に濁ってしまったことを表します。このような状態に気がついたら、早急に受診する必要があります。
目の鈍い痛みや頭痛が起こるのは、白内障の影響で眼圧が高くなっているからです。白内障になると、水晶体が厚くなることがあります。この厚くなった水晶体が目の中の水の流れを妨げて、水を流れにくくすることで水が溜まり、眼圧を高くしてしまいます。すると目が霞むだけではなく、鈍い痛みが走ったり、充血したり、頭痛が起こるのです。
白内障によるQOLの低下
白内障の症状は、視力低下により今まで可能だった日常生活を難しくし、生活の質(QOL)の低下は、私たちの生活を大きく変化させます。
曇りの日よりもお天気の日の方が、ものが見にくくなったり、趣味だったゴルフのボールが見えなくてせっかくの運動習慣をやめなくてはいけない場合があります。こういった生活の変化は、日常生活におけるストレスを生むことにもなります。白内障は徐々に進むことが多いため、視力低下に気がつかないまま、知らず知らずのうちに日常生活が変化し、いつの間にかQOLも低下してしまっているケースがみられます。