白内障の予防
公開日:2016年7月25日 10時00分
更新日:2019年8月13日 10時34分
白内障のケアについて
白内障は、加齢によって発症することが多い疾患です。80歳代の有病率はほぼ100%ですので、高齢者にとって身近な病気といえます。
しかし、それ以外にも紫外線や体内での酸化ストレスが、白内障を発症する大きな原因となることもあります。酸化ストレスとは、酸化反応によって引き起こされる私たちの体にとって有害な作用のことです。
白内障と酸化ストレス
酸化ストレスには、以下のようなものがあります。
- 喫煙
- 糖尿病
- 薬物によるもの(副腎皮質ステロイド、向精神薬、不整脈治療薬"アミオダロン"、高脂血症薬"スタチン"、縮瞳薬)
白内障を予防するために
白内障になる要因には、加齢以外もありますので、これらに注意して予防していくことが大切です。予防法としては、以下のようなことがあります。
- 体内の酸化ストレスを予防するために、禁煙する
- 糖尿病、高血圧、高脂血症、心血管系疾患などを予防できるよう、生活習慣を見直す
- 抗酸化力を高めるビタミンを多く含んだ野菜や果物を毎日摂取することで、酸化ストレスを解消する
- 紫外線による刺激を避けるために、帽子やサングラス、コンタクトレンズなどで、目を保護する(夏場だけでなく、一年通しての予防策が必要)。サングラスの横から入ってくる光にも注意が必要ですが、現在は写真のようなUVカット加工済で、サングラス横の側面からの紫外線を避ける工夫がされているメガネなどもあります。最近では、UVカット加工レンズでのメガネを作れるメガネ店が増えています。中には、全てのレンズが「UVカット加工済」としているところもありますので、メガネを作る時には確認してみると良いでしょう。
- 目の打撲や外傷により、白内障を誘発することがあるため、目の外傷には十分に気をつけましょう。
- 放射線の被ばくや、赤外線の直接の照射を避ける。なお、原発事故や原爆による被ばく以外にも、心臓カテーテル治療を行う医師などの医療従事者や、宇宙線にさらされる宇宙飛行士が、白内障になりやすいことが明らかになっています。
白内障の予防
加齢による白内障を防ぐことはとても難しいのですが、それ以外の方法であれば、今日からできる白内障予防があります。それは糖尿病などの生活習慣病にかからないような生活習慣を送ることです。
生活習慣病を予防する考え方の1つとして、厚生労働省が推奨する「健康日本21』があります。現在は(平成25年より)第二次がスタートしています。
健康日本21(第二次)による健康増進に関する基本的な方向性1)
1.健康寿命の延伸と健康格差の縮小
- 生活習慣の改善や、社会環境の整備によって達成すべき、最終的な目標。
2.生活習慣病の発症予防と、重症化予防の徹底(非感染性疾患の予防)
- がん、循環器疾患、糖尿病、COPDに対処するため、一次予防・重症化予防に重点を置いた対策。
- 国は、適切な食事、適度な運動、禁煙など、健康に有益な行動変容の促進や社会環境の整備のほか、医療連携体制の推進、特定健康診査・特定保健指導の実施等に取り組む。
3.社会生活を営むために必要な機能の維持および向上
- 自立した日常生活を営むことを目指し、ライフステージに応じて「こころの健康」「次世代の健康」「高齢者の健康」を推進。
- 国は、メンタルヘルス対策の充実、妊婦や子どもの健やかな健康推進に向けた取組、介護予防・支援等を推進。
4.健康を支え、守るための社会環境の整備
- 時間的、精神的にゆとりある生活の確保が困難なものも含め、社会全体が相互に支え合いながら健康を守る環境を整備。
- 国は、健康づくりに自発的に取り組む企業等の活動に対する情報提供や、取り組みの評価等を推進。
5.栄養・食生活、身体活動・運動、休養、飲酒、喫煙、歯・口腔の健康に関する生活習慣の改善および社会環境の改善
- これらの実現のために、各生活習慣を改善するとともに、国は対象者ごとの特性、健康課題などを十分に把握。
白内障と生活習慣病
生活習慣病は、食生活、身体活動、ストレス、喫煙、嗜好品に対する日々の習慣の積み重ねで発症します。
これらの項目の中で、1つでも多くの目標を達成することが出来ていれば、その分だけ生活習慣病にかかるリスクを下げることが出来ます。
つまり、今すぐにでも始められる白内障予防策とは、バランスのとれた食事に気を配り、BMIの値が正常範囲になるような身体活動に取り組み、ストレスを溜めないようにして、禁煙し、お酒の量を調整する、ということになります。
生活習慣病を予防する方法
- バランスのとれた食事に気を配る
- BMIの値が正常範囲になるような身体活動に取り組む
- ストレスを溜めない
- 禁煙する
- お酒を飲み過ぎない
生活習慣病にならないような健康的な生活習慣を身につけると、白内障や糖尿病を防ぐ効果があることの他に、メタボリックシンドロームやがん、高血圧、肥満などさまざまな疾患も予防することが出来ます。
自分の目は自分で守る
現在の日本は、超高齢化社会に突入しています。白内障に限らず、何らかの疾患で不自由な状態のまま長生きするより、年を重ねても健康で活動的な生活を続けたいですよね。
白内障予防の考え方1つをとっても、理想とされる生活習慣が提示されています。しかし、それまでの生活習慣を急に変えようとしても、そのことがストレスにつながってしまうこともあります。ですから、まずは自分に負担が少ない部分や簡単なことから、徐々に変化することを楽しみながら、取り組んでいくのが良いでしょう。
参考文献
1)厚生労働省 平成26年版厚生労働白書 ~健康・予防元年~ 図表3-1-3 健康日本21(第二次)の概要より