白内障の原因
公開日:2016年7月25日 13時00分
更新日:2019年8月 6日 10時12分
白内障の原因には何があるか
白内障は、ごく軽い症状のものを含めると50歳代で37~54%、60歳代で66~83%、70歳代で84~97%、80歳代ではほぼ100%の有病率になる目の病気です。
白内障になる原因のほとんどは加齢によるもので、高齢者社会である日本ではよくある病気と考えられます。目の中の水晶体と呼ばれる部分が、濁ることで起こる疾患です。
水晶体が濁る原因としては、加齢によって水晶体の成分であるたんぱく質(クリスタン)が変化することと関係しています。
しかし、白内障の原因には、加齢以外にも以下のような4つの要因が挙げられます。
- 紫外線
- 放射線
- 糖尿病
- ステロイド薬
白内障と紫外線
紫外線は私たちの皮膚と関係が深く、特に女性は日焼けやシミ、シワなどを気にしている人は多いですね。男性でも、皮膚がん予防に肌の露出を避けている人もいます。また、目に強い紫外線を浴びると、白内障の発症を早めたり、すでに白内障にかかっていれば進行が早くなります。また、強い紫外線は、ほかのさまざまな目の病気の原因になることもあります。
例えば、屋外で仕事をしている人や、屋外で活動する機会が多い人、農作業に従事している人、紫外線の強い熱帯や亜熱帯地域に住んでいた人や現在も住んでいる人は、そうではない人と比べて、白内障になる可能性が高いといわれています。
今は大丈夫でも、今後、発症する危険性があるため、もし今まで紫外線対策をしないで外に出ていた場合は、気をつけましょう。
白内障と放射線
放射線は、水晶体にダメージを与えやすく、被ばく量が多ければ多いほど白内障になる確率が上がります。特に短期に大量の放射線を浴びた場合は、白内障を発症するリスクがとても高くなることが分かっています。かつて、原爆による被爆をした人の多くが、白内障を発症したことからも明らかです。チェルノブイリ原発事故で、短期間に大量の放射線を浴びた作業員に中で、被ばく後10年以上を経過した人を調査した結果、白内障にかかっていた人が多いことも分かっています。
現在、福島第一原発事故による放射線被ばくについても、原発事故収束作業員を対象にした調査が進められています。放射線を比較的よく浴びる職業として、医療従事者や宇宙飛行士などがあります。
白内障とステロイド薬
「ステロイド薬」と呼ばれる薬剤にはいくつかの種類があり、飲み薬、吸入薬、塗り薬、目薬などがあります。その中でも白内障の原因になりやすいものは、全身疾患の病気に関係する内服薬と、喘息の治療などに使われる吸入薬です。
ステロイド薬が原因で起こる白内障は、加齢が原因の発症とは違い進行がとても早いことが分かっています。発症から手術が必要になる程度の視力低下まで、数ヶ月から1年程度のスピードで進行します。
写真のとおりステロイド薬が原因となる水晶体の濁りは、水晶体の後嚢部中央から始まり、最初は皿状の濁りができるという特徴があります。そのため眼科医は、水晶体の濁り方を見ただけで、白内障の原因がステロイド薬であると診断することもできます。
ステロイド薬は、白内障の原因だけではなく緑内障の原因にもなるため、長期的に使用する必要がある場合は、定期的に眼科を受診して経過を見てもらうと良いでしょう。
白内障と糖尿病
図にもあるとおり糖尿病の合併症として網膜障、白内障、緑内障になる場合があります。糖尿病にかかっている人は、健康な人よりもおよそ5倍、白内障になるリスクがあります。糖尿病が原因となる白内障は、60歳代以下の人に対する影響が大きいです。
男性よりも女性の方が白内障を発症しやすいことが明らかになっています。
糖尿病の治療として抗糖尿病薬の内服を開始から5年以上過ぎると、内服をしていない人よりもおよそ3倍、白内障のリスクが高くなります。この場合、血糖値のコントロールがうまくいかなければ、白内障の進行がさらに早くなります。
糖尿病は、白内障以外の目の病気で、失明に至るリスクが高い網膜症の要因でもありますので、糖尿病の予防は、目の健康につながるといえるでしょう。