白内障の診断
公開日:2016年7月25日 12時00分
更新日:2019年2月 1日 21時25分
白内障の診断について
白内障は、目の中にある光を通す水晶体の濁りによって、視力が低下してしまう病気です。白内障を発症すると、生活のさまざまな面に大きな影響がありますので、気になる症状があれば、早めにかかりつけの眼科医を受診することをおすすめします。
白内障の症状とは
白内障は、ある程度まで進行しないと、目立った自覚症状はありません。目の痛みなどがある場合は、他の目の病気を疑ってみる必要があります。
白内障の主な症状は、視界が暗くなる、ものがぼんやり見える(霞がかかったように見える)、光が散乱してまぶしく感じる、視力がゆっくりと低下する、などです。白内障による視力低下の場合は、メガネなどの度で調整することが難しくなるため、視力低下に気づいて眼科を受診し、白内障と診断されることもあります。
また、目は2つあるため、片方の目に白内障を発症していても、もう片方の目で補ってしまうため、日常生活への支障が出にくく、眼科を受診するタイミングが遅くなることもあります。
白内障診断に必要な検査
視力検査
裸眼での視力と、メガネやコンタクトレンズを使用した時の視力(矯正視力)を比較します。矯正をしても視力が上がらない場合は、白内障が疑われます。
細隙灯顕微鏡(さいげきとうけんびきょう)検査
細隙灯(さいげきとう)と呼ばれる、特殊な拡大鏡を使って、帯状の光を目に当てる検査です。白内障だけではなく、色々な目の病気が分かります。この検査は、眼科で行う検査の中でも重要な検査ですので、通常は、受診のたびに行われます。
細隙灯顕微鏡検査では、角膜(黒目の表面部分)、結膜(白目の表面部分)、虹彩(黒目のふち、茶目の部分)、水晶体(レンズ)、まぶたなどに傷がないか、炎症は無いかなどが分かります。さらに、緑内障の可能性、白内障の可能性なども確認できます。
白内障であった場合、水晶体の「にごり」が確認できます。水晶体の中でも、どのあたりににごりがあるのか、にごりの強さ(白内障の進行具合)はどうかなど、総合的に判断され、白内障と診断されます。
その他
眼科で行う検査には他にも、次のような検査があります。
- 眼底検査:瞳孔から眼球の中をのぞき、視神経や網膜、硝子体(しょうしたい)に異常がないかを検査します
- 眼圧検査:眼圧が正常値より高くなると緑内障と診断されますが、白内障が進行した結果として、眼圧が高くなることもあります
- 屈曲異常の検査:近視・乱視・遠視があるかどうか、その強さはどうかなどを検査します
- 角膜形状解析検査:白内障では、手術で人工レンズを挿入するため、手術前には、角膜の湾曲度合を検査します
- 視野検査:白内障では、一部の視野が欠損(見えなくなる)ことは少ないですが、緑内障の場合は明らかな視野欠損が確認できます
このように、眼科で行う検査は色々あり、自覚症状によっても受ける検査の内容は変わってきます。しかし、白内障であるかどうか、その進行具合などについては、細隙灯顕微鏡(さいげきとうけんびきょう)検査で分かることが多いようです。少しでも気になる症状があれば、早めに眼科を受診しましょう。
白内障セルフチェック
以下に15コの質問があります。このうち、2コ以上に当てはまる人は、気づかないうちに、白内障を発症している可能性があります。
- Q1 あなたの年齢は50歳以上である
- Q2 最近目が見えにくいことが多くなった
- Q3 日常生活が不自由になったと感じることがある
- Q4 片目ずつで見ると、右目と左目の見え方に大きな差がある
- Q5 天気の良い日は、とてもまぶしいと感じる
- Q6 暗がりでライトを見ると、異常なほどまぶしく感じる
- Q7 室内では問題ないが、明るい屋外にでると見えにくくなる
- Q8 距離感が無くなり、転んだり、ものが取りにくくなった
- Q9 霞がかかったような(すりガラスを通して見るような)見え方になった
- Q10 片目で見ても、物が重なって見える(図1のように文字が二重や三重にダブって見える)
- Q11 メガネを新しくしたいが、視力が出ないといわれた
- Q12 視力低下のため運転免許の更新が出来なかった
- Q13 眼がかすんで疲れやすい
- Q14 目の痛みや充血はない
- Q15 老眼鏡を使わなくても、手元がはっきり見えるようになった
これらの質問に、いくつ「はい」がありましたか? 2つ以上の「はい」がある場合は、白内障の可能性があります。
より詳しい解説は日本白内障学会のホームページでも確認できます。