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がん予防の運動とは

公開日:2016年7月25日 14時00分
更新日:2019年10月18日 16時26分

がんとは

 がんは、悪性腫瘍(悪性新生物)とも呼ばれます。がん(悪性腫瘍)の特徴は以下の3つがあげられます。

がんの特徴

  1. 自律性増殖:がん細胞はヒトの正常な新陳代謝の都合を考えず、自律的勝手に増殖を続け、止まることがない。
  2. 浸潤と転移:周囲にしみ出るように広がる(浸潤)とともに、体のあちこちに飛び火(転移)し、次から次へと新しいがん組織をつくってしまう。
  3. 悪液質(あくえきしつ):がん組織は、他の正常組織が摂取しようとする栄養をどんどん奪ってしまい、体が衰弱する1)

がんの分類

 基本的に、すべての臓器、組織にがんが発生します。一般的には発生した臓器、組織による分類などから由来して名称が決められます。

1.造血器でできるもの

 造血器でできるものには、白血病、悪性リンパ腫、骨髄腫等があります。

2.上皮細胞でできる「癌」

 上皮細胞でできるがん(上皮性腫瘍)の代表的なものには、肺がん、乳がん、胃がん、大腸がん、子宮がん、卵巣がん、頭頸部のがん(喉頭がん、咽頭がん、舌がん等)等の「癌」があります。

3.非上皮性細胞からなる「肉腫」

 一方、肉腫の代表的なものは、骨肉腫、軟骨肉腫、横紋筋肉腫、平滑筋肉腫、線維肉腫、脂肪肉腫、血管肉腫等の「肉腫」があげられ、発生した組織名が冠されています。造血器がんを除くと、そのほとんどはかたまりをつくって増生するので、固形腫瘍(こけいしゅよう)と一括して呼ぶこともあります。

4.上皮内新生物

 上皮内新生物が最もよく観察されているのは子宮頸部ですが、子宮頸部では前がん病変の異形成(いけいせい)と上皮内腫瘍はしばしば共存し、両者の間は必ずしも明瞭な区別がつけられません。これらを連続した一連の病変としてとらえ、「子宮頸部上皮内腫瘍(cervical intraepithelial neoplasia:CIN)」と呼んでいます1)

 現在日本人は、一生のうちに、2人に1人は何らかのがんにかかるといわれています。がんは、すべての人にとって身近な病気です(リンク1参照)。

リンク1:国立がん研究センターがん対策情報センター がん情報サービス(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)

 厚生労働省の人口動態統計(確定数)の概況によると日本での平成28年のがん死亡数は37万2,986人2)、厚生労働省患者調査の概況によると平成26年の全国の悪性新生物の患者数は162万6,000人3)となっています。

がん予防の運動とは

 身体活動は大腸がんのリスクを減少することがほぼ確実であると示されており、乳がんのリスクを減少する可能性が高いことも示されています4)

 厚生労働省の「健康づくりのための運動指針2013」では、18~64歳の身体活動基準として歩行又は歩行と同等以上の運動を毎日60分行うことが推奨されています。65歳以上では横になったままや座ったままにならなければどんな動きでも良いので身体活動を毎日40分行うことが基準となっています5)(表)。

図:18歳から64歳の身体活動基準と運動基準と65歳以上の身体活動基準を示す模式図
図:18歳~64歳の身体活動基準と運動基準および65歳以上の身体活動基準5)

 厚生労働省の健康づくりのための身体活動指針(アクティブガイド)では、少しでも活発にからだを動かすことから始め、まずは散歩や速歩き、体操など、10分多く体を動かすことを呼びかけています。運動習慣としては30分以上の運動を1週間に2回以上行うことが推奨されています6)

がん予防の運動の効果

 仕事や運動などの身体活動が多いほど大腸がん、乳がん、がん全体の発生リスクが低くなることが示されています。がんだけではなく心疾患での死亡リスクも低くなり総死亡率も低くなることがわかっています4)

 また、肥満は閉経後の乳がんのリスクが高くなることが示されており、肥満の指数であるBMIが1増加することに大腸がんのリスクが男性で1.03倍、女性で1.02倍高くなることも言われています。肝がんも肥満によって発生リスクが高くなることがほぼ確実とされており、男性のBMI 18.5未満のやせと女性のBMI30以上の肥満で、がん全体のリスクが高くなる可能性があることが言われています。定期的な運動を行い、適正体重を維持することによって肥満ややせによるがんのリスクを減少することが期待できます4)

がん予防の運動の種類

がん予防のための運動にジョギングを取り入れている老夫婦のイラスト。運動はがんの発生リスクが低くなる。また定期的な運動は適正体重の維持につながり、肥満ややせによるがんのリスクを減少することも期待できる。

 厚生労働省の健康づくりのための身体活動基準2013では、18~64歳以上の強度が3メッツ以上の身体活動を1週間に23メッツ・時行うことが目標とされています。1メッツ・時の身体活動では、20分の歩行、15分の自転車や子供との遊び、10分の階段昇降、7~8分の重い荷物運び、運動では20分の軽い筋力トレーニング、15分の速歩やゴルフ、10分の軽いジョギングやエアロビクス、7~8分のランニングや水泳に相当します4)(表)。

表:1メッツ・時に相当する身体活動と運動4)
身体活動 運動
20分の歩行 20分の軽い筋力トレーニング
15分の自転車や子どもとの遊び 15分の速歩やゴルフ
10分の階段昇降 10分の軽いジョギングやエアロビクス
7~8分の重い荷物運び 7~8分のランニングや水泳

参考文献

  1. がん情報サービス 知っておきたいがんの基礎知識 国立がん研究センター(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  2. 平成28年(2016)人口動態統計(確定数)の概況 第7表 死因簡単分類別にみた性別死亡数・死亡率(人口10万対) 厚生労働省(PDF)(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  3. 平成26年(2014)患者調査の概況 表7 主な傷病の総患者数 厚生労働省(PDF)(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  4. 日本人のためのがん予防法-科学的根拠に基づく発がん性・がん予防効果の評価とがん予防ガイドライン提言に関する研究- 研究班によるパンフレット2017年版(第4版) P17-18 国立がん研究センター 社会と健康研究センター 予防研究グループ(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  5. 健康づくりのための身体活動基準2013 厚生労働省(PDF)(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  6. 健康づくりのための身体活動指針(アクティブガイド) 厚生労働省(PDF)(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)

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