運動を習慣化する仕組み(行動変容とその維持)
公開日:2016年7月25日 13時00分
更新日:2024年2月 9日 14時21分
習慣化する仕組みとは(行動変容※1とその維持)
日常生活での健康生活の実践と習慣化を図るためには社会環境の整備とともに、教育面から支援を行い、行動変容への動機付けや、行動変容に必要な知識・技術の習得を促すことが必要となります1)。
- ※1行動変容:
- 健康保持・増進のために行動・ライフスタイルを望ましいものに改善すること2)。
1.知識の習得と理解
「なにをどうすることが必要であるか、その理由は何か」という目的の行動についての対象者が正しい知識を習得し、理解すること
2.態度の変容
「自分の習慣を変えよう」とする健康行動を起こそうという気持ちになること
3.行動変容とその維持
日常生活での健康生活の実践と習慣化1)
知識や理解、意欲や態度、技術はそれぞれ相互に作用しあい、運動についての情報や知識が運動を行おうという意欲を産み、運動を実際に行ってから得られるプラスの変化や続けられるという自信が行動変容と維持につながり、行動が習慣化されます。
行動変容のステージ1)
人が行動を変える場合には無関心期、関心期、準備期、実行期、維持期の5つのステージを通ると考えられています。
1.無関心期
6ヶ月以内に行動変容に向けた行動を起こす意思がない時期です。問題である行動や生活習慣に気付けておらず、今のまま生活していった場合にどうなるかということに気づいていない時期です。行動変容を試みて失敗してくじけてしまった場合もあります。
2.関心期
6ヶ月以内に行動変容に向けた行動を起こす意思がある時期です。行動変容を起こす必要性に気づいているものの、行動変容によって得られる利益と不利益とに揺れ動いている動機づけが不安定な時期で、行動を起こす意志が決定的ではない時期です。このステージでとどまっている人は多いと考えられます。
3.準備期
1ヶ月以内に行動変容をおこす意思がある時期です。目的とする行動変容は起こっていなくても、それに関係するプログラムへの参加していることや関連のある書籍やシューズやウェアを購入していること、周囲に興味を持っているとして話していることなど、行動変容に向けての準備を行っている時期です。
4.実行期
明確な行動変容が観察されるものの、その持続がまだ6ヶ月未満である時期です。まだ習慣としては安定していない時期で、継続するための問題となる行動がみられることや、不利益なことがあれば続かなくなる可能性がある時期です。
5.維持期
明確な行動変容が6ヶ月以上続いている時期です。自分が変わるための努力を行うことや努力を続けるために、外食の際はヘルシーメニューを取り扱う店を探すことや同じ目的に取り組む仲間と集うことなど、外部環境の選択が行なえるようになる時期です。
自己効力感を高める
行動を習慣化させるために行動変容を起こすには、自己効力感を高めることが有効です。自己効力感が高い人は、自分が達成できる目標を明確に設定することができ、行動変容を挑戦として捉え立ち向かう前向きな考え方ができます。自己効力感を高めることによって、行動変容のための動機づけがされ、実行した際にも不利益なことに直面することや問題となる行動が起こりそうになったときでも前向きに考えて行動変容を維持することができます1)。
自己効力感を高めるには、成功経験とモデリングがポイントとなります。
成功経験とは
実際に行動を行い、上手くできたという経験のことであり、成功経験を得るためには目標の段階付けが必要です。いきなり、目標とする行動を実行するのではなく、少しがんばれば達成できそうな目標を立てて達成することで自信をつけ、段階的に目標を立ててクリアしていきます。目標を達成するごとに自身も高まり、次の目標を達成するためのモチベーションともなります2)。
モデリングとは
性別や年齢、健康状態、生活状況などの環境が自分に似ているモデルとなる人を見つけ、行動を行うことで得られたメリットや目標となる行動をうまく続けるコツを聞くこと、上手く実践しているところを見ることなどで、自分にもできそうだという自信を感じることです2)。
参考文献
- Ⅳ健康教育 厚生労働省