低体温
公開日:2016年7月26日 12時00分
更新日:2019年10月 4日 12時00分
似ているようで大きく違う「冷え性」と「低体温」
「冷え性」と「低体温」の症状
「冷え性」の症状は、「人が寒さを感じない温度でも手足などが冷えてつらいと感じる」ということです。具体的には「暖かい部屋にいても手足が冷たい」とか、「布団の中でも手足が冷たくて眠れない」などと表現されることが多いです。必ずしも実際に体温が下がっていたり、触ると冷たいとわけではない、ということが大きなポイントです。
自覚症状のうち、「手足の冷え」が最も気になる症状であると訴える人の割合は、平成25年厚生労働省国民生活基礎調査(グラフ1)によると、年齢を追うごとに増えていること、女性に多いことがわかります。
より引用
「冷え症」では、手足の冷えの他にも肩こり、関節痛、不眠、便秘や下痢、膀胱炎などの症状が起こりやすくなります。
これに対し「低体温」とは、深部体温が35度以下になることを指します。こうなると激しい震えや意識障害、錯乱などが出現し、最終的には呼吸および心停止となります。「寒さ」、「手足の冷え」を感じることはありません。
「冷え性」と「低体温」、原因はこんなに違う
「冷え性」の原因となる病気としては、甲状腺機能低下症や貧血、膠原病(こうげんびょう)、閉塞性動脈硬化症などがあげられます。
「冷え」の症状のほかに疲れやすい、冷たい風で指先が紫色や白色になる、どちらかの足が特に冷たい、ふくらはぎの痛みで長く歩けないなどの症状が同時にあれば、医療機関で相談してみるとよいでしょう。
特別な原因のない冷え症は、病気と健康の間の状態と考えられます。もともと日本人の身体には四季の変化に順応する能力があり、冬の基礎代謝は夏より一割程度高く、快適に感じる温度も夏は冬より約3℃低いとされています。
最近は、冷暖房により室内と外気との温度差が10℃以上となることも多く、自律神経のバランスが崩れることで「冷え」を自覚する方も多いようです。
これに対し「低体温」は身体から出ていく熱量の方が体内で産生される熱量よりも多い場合に起こります。具体的には、寒いところに長時間過ごす、冷たい水につかる、冷たい地面で長い間横たわる、などの環境的な要因でおこることがほとんどです。
「冷え性」と「低体温」はどう診断するか
「冷え症」とは、西洋医学的な診断名ではなく、おもに自覚的症状による社会通念的な病名です。したがって、はっきりとした診断基準はありません。人が寒さを感じない程度の温度環境で、手足や腰、下半身などが冷えて、つらいと感じる場合には「冷え症」であるといえます。
「低体温」は、深部体温として直腸の温度を測ることで診断します。直腸温が35℃を下回れば「低体温」と診断されます。
「冷え性」の治療
「冷え性」に対しては、主に漢方薬などによる治療が行われます。「冷え性」のタイプに応じて使用される薬は異なります。
今すぐできる「冷え性」のケア・予防
「冷え症」に対しては、生活習慣や、食養生などが有効です。食事では、冬にとれる根菜類や北国でとれる食品には体を温め、夏にとれる野菜や南国のトロピカルフルーツは体を冷やします。下に身体を温める食品、身体を冷やす食品のリストをあげておきます。
体を温める食品
野菜・根菜類
カボチャ、かぶ、ゴボウ、たまねぎ、ピーマンなど
香味
生姜、ねぎ、にんにく、しそ、こしょう、山椒など
果物
くり、もも、ライチ、ナツメ、くるみ、ザクロ
穀物
餅米、玄米
体を冷やす食品
野菜・根菜類
とまと、きゅうり、ナス、セロリ、レタス、柿、梨、マンゴ、スイカなど
穀物
そば、小麦
調味料
白糖、しょうゆ、はちみつ、牛乳など
服装は、「頭寒足熱」という四字熟語の通り、「上半身より下半身に1枚多く」を原則にします。首は冷やさないように、夏にはスカーフ、冬にはマフラーなどを利用しましょう。体をしめつけるものを避け、温度調節ができるように重ね着をして、こまめに脱ぎ着をすること、吸湿性のよい素材を身につけること、足先をきちんと覆うことも冷え症対策には有用です。
入浴は、高い温度のお湯では末梢の血管は拡張せず、芯まで温まりません。38-40℃のぬるめのお風呂でゆっくり半身浴をするとよいでしょう。上がり湯は、さらにぬるく感じるものをかけると効果的です。