てんかん
公開日:2016年7月23日 10時00分
更新日:2019年6月12日 09時59分
てんかんとは
てんかんとは、てんかん発作を症状とする慢性の脳の病気です。てんかん発作とは脳の神経細胞が何らかの理由で過剰にしかも同期して興奮することによっておこり、脳のどの部位で過剰に興奮するかによって、運動症状(ひきつけたり、手足をがくがくさせたりする)、意識(意識を失う、一瞬意識が途切れる)、感覚(しびれが走る)、自律神経(発汗する)など多様な症状をおこします。てんかん発作は脳の一部分から起こる部分発作(このうち意識消失を伴うものを複雑発作、伴わないものを単純発作といいます)と、発作開始から両側大脳におこる全般発作にわかれます。これらの症状が一回限りでなく、くりかえし、発作的におこるのが特徴です。
てんかんの発症頻度
てんかんはたいへん頻度の高い病気で全人口の0.5~1%にあるといわれていますが、発作の形が多様なため、てんかんと気がつかないで生活している人も多いと推定されます。てんかんは小児期に発症することが多く、成人ことに60歳以降の発症頻度はまれと考えられておりその頻度は10万人24という報告があります。
てんかんの種類(特発性てんかん・症候性てんかん)
てんかんは遺伝的な素質以外に脳に原因のみられない特発性てんかんと脳に原因(脳腫瘍や脳梗塞)のある症候性てんかんに分けられますが、高齢者のてんかんでは症候性てんかんがほとんどで、特発性てんかんの頻度はまれと考えられています。
てんかんかどうか、どのようなタイプのてんかんなのかは発作の様子が最も重要です。
てんかんの診断
てんかんの診断としては脳波がもっとも重要な検査ですが、高齢者では脳波上の発作波は発作を起こしていないときには出現しにくいと言われています。
高齢者でてんかん発作を起こしたときには症候性てんかんの原因となる脳の病気を探すだけでなく、てんかんと紛らわしい他の意識消失発作をきたす病気を鑑別する必要があります。不整脈や心疾患、頸部の動脈の高度の狭窄、起立性低血圧(寝た状態から起き上がると本来上昇すべき血圧が逆に低下してしまう)などが問題になります。鑑別するために24時間心電図や心臓超音波検査、頸部超音波検査、MRI、CT、MRIによる血管撮影などが必要です。
また、症候性てんかんの原因となる疾患としては脳血管障害が最も多く、脳腫瘍がそれについで多くなっています。
脳梗塞にともなっておこるけいれん発作は脳梗塞を起こした直後におきるのではなく、2年以内(平均6-7ヶ月)でおこることが多く、そのため遅発性けいれん発作といわれます。
てんかんの治療
てんかん発作の治療は抗けいれん薬を使用します。発作の型が抗けいれん薬を選ぶ場合重要となります。抗けいれん薬は脳の異常興奮を抑える薬ですので脳に対しては鎮静的に働きます。そのため飲み始めには眠気がでたり、ふらついたりすることがあります。高齢者に使用する場合はできる限り1種類の薬で最小投与量で治療することが大切です。