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運動中の突然死

公開日:2016年7月25日 17時00分
更新日:2019年2月 1日 18時11分

運動中の突然死

 運動中に起こる内科系障害の事故として最も重篤なものは突然死です。運動を開始する前にメディカルチェックを行い、身体状況、体力、その日の体調や天候、環境に応じた適切な運動プログラムを実施し、運動前・運動中・運動後における注意点を把握してリスクに備えていなければ、突然死に至ることもあります。

 厚生労働省による全国の健康運動指導士へのアンケート調査では、運動指導中・後に救急車や病院へ搬送事故を経験した健康運動指導士の割合は、実際に運動指導経験のある回答者1,617名中404名で25.0%であり、そのうち、死亡事故を経験した健康運動指導士の数は17名で3.4%であったという結果があります1)。運動中や運動後における死亡事故、緊急を要する事故は決して特殊なことでなく、事故を起こさないための対策と、事故が起きた時の対応とを、運動を行う本人自身と周囲も確認しておくことが大切です。

運動中の突然死の原因

 運動により生じるリスクとして、内科系障害の中で最も重篤なものは運動中の突然死です。中高年における運動中の突然死の主な原因としては心筋梗塞、脳卒中、重篤な心室性不整脈などがあります。たとえ明らかな心疾患を持たない者であっても事故を起こす可能性があります2)。運動によって急性のストレスがかかると心筋虚血や致死的不整脈の誘発に至ることがあります。また、突然に運動終了した際には、心筋虚血を起こすことや、致死的不整脈の誘発に至ることもあります。

メタボリックシンドローム、肥満、糖尿病、インスリン抵抗性のある人においては交感神経系の機能亢進と副交感神経系の機能低下が認められ、運動中の血圧過上昇や心電図以上のリスクが高いとされています2)

運動中の突然死の予防3)

 運動中の突然死を予防するには、運動前の体調のチェックや準備体操、運動中の体調確認、運動後の整理体操がポイントとなってきます。

運動前の体調チェック

 運動を始める前にメディカルチェックを受けて、血圧や血液検査の結果、各検査から異常がないかを確認し、運動の可否や運動制限、運動における注意点を主治医に相談して把握しておくことが重要です。運動の種類・強度・時間・頻度などを詳しく決定してある適切な運動プログラムの処方を受けておくこともよいでしょう。

 運動当日の体調や血圧、天候、運動する場所の環境もチェックし、無理をせずに、状態に合わせて運動プログラムの変更や運動の中止を行うようにします。服薬がある場合は、運動前に飲み忘れがないかのチェックも行いましょう。準備体操(ウォーミングアップ)としてストレッチは必ず行いましょう。ストレッチを行うことで、関節可動域の改善、筋緊張の緩和、血流の改善が促され、傷害の予防につながります。

運動中の体調確認

 急に目標の運動負荷や心拍数での運動を行うのではなく、運動開始時は徐々に運動負荷や心拍数を上げていくようにし、運動終了時は負荷をゆっくりと下げるようにします。胸痛や動悸、疲れなど、いつもと違う体調の変化がみられる場合は、すぐに運動を中止しましょう。20分に1回程度のこまめな水分摂取を心がけましょう。

運動後の整理体操(クーリングダウン)

 運動後は急に動くことを辞めず、十分な整理体操(クーリングダウン)を行い、不整脈の誘発や急激な血圧低下を防ぐようにします。ストレッチを行い、心臓へと血液を戻すことを促しましょう。

参考文献

  1. 運動時における事故発生とその対策 厚生労働省e-ヘルスネット(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  2. 健康スポーツ医学委員会答申 日本医師会健康スポーツ医学委員会(PDF)(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  3. 事故・障害予防の対策 厚生労働省e-ヘルスネット(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)

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