運動とメディカルチェック
公開日:2016年7月25日 18時00分
更新日:2019年8月 1日 13時59分
メディカルチェックとは
メディカルチェックとは、問診・診察・血圧測定・血液検査(血糖・血清脂質・肝機能・腎機能・貧血など)・尿検査・身体計測・心電図・運動負荷心電図・レントゲン検査などの医学的検査のことを言います1)。
高齢者では、膝関節や股関節、腰椎の変形性関節症などの整形外科疾患を合併している場合も多いため、関節の運動性や可動性、痛みの有無、筋力低下や筋委縮などの程度もチェックします。必要があれば、X線検査やMRI検査なども行います。
メディカルチェックの目的
メディカルチェックを行うことで、身体の状態を捉え、治療すべき病気や改善すべき生活習慣をみつけることができます。
また、メディカルチェックの結果によって運動自体を行ってもよいか、どのような運動が適しているのか、運動の負荷や強度、時間や頻度はどのくらいが適切か、運動時に注意すべき点や、気をつけるべきリスク、もしリスクが発生した場合にはどう対処すればよいか、などを事前に確認しておくことで、運動時に起こるリスクを未然に防ぎやすくなります。
1年に1回はメディカルチェックを受けて身体の状態を把握し、必要に応じて運動プログラムの見直しを行い、安全に楽しく運動を継続していきましょう。
メディカルチェックの内容1)
初めに問診で、現在治療している病気や過去にかかったことのある病気、運動を行ったときに胸痛や関節の痛み等の症状がみられるか、家族の中に心臓病を患っている方や突然死した方がいるか、飲んでいる薬の確認、痛みがある部位はあるかなどの聴取を行います。
診察では皮膚や眼、喉、首などの視診、肺や心臓の音の聴診、お腹の触診、足のむくみ、関節の可動性・運動性の確認などを行い、気になるところがないかをチェックします。
身体計測では、身長と体重からBMI(体格指数)がわかり、肥満度・適正体重に向けての運動の必要性がわかります。血液検査では、糖尿病や脂質異常症、貧血、肝疾患や腎疾患の有無、炎症値、栄養状態や感染症の罹患などを調べることができ、尿検査では腎機能低下や糖尿病などがわかります。血圧測定では高血圧や低血圧、心電図は不整脈や狭心症、心筋梗塞などの有無を調べられます。
運動時負荷検査で運動したときの血圧や心電図の変化から、運動時にみられる不整脈や血圧上昇などのリスクを知ることができます。レントゲン検査では肺や心臓の疾患、消化器疾患、整形疾患の有無を調べられます。呼吸機能検査を実施し、呼吸器疾患の有無などを調べることもあります。
メディカルチェックの項目
メディカルチェックの項目には、問診・診察・血圧測定、血液検査、尿検査、身体計測、レントゲン検査、運動負荷心電図、呼吸機能検査などがあり、チェック項目と項目ごとの検査内容は表のとおりです。
検査項目 | 検査内容 |
---|---|
問診 | 現在治療している病気、過去にかかった病気や怪我の確認、痛みの有無、運動時の症状、心血管疾患や突然死の家族歴、服薬状況 |
診察 | 心拍数、心臓・肺の音を聴診、眼・喉・首を診る、お腹の触診、足のむくみの確認、関節の可動域・運動性、筋力など体の様々な部分の診察 |
血圧測定 | 収縮期血圧・拡張期血圧の測定 |
血液測定 | 血糖値、HbA1c、血清脂質(LDL・HDL・トリグリセライド)、貧血(ヘモグロビン・ヘマトクリット・血清鉄・赤血球数)、炎症値(CRP・白血球数)、肝機能(AST・ALT)、腎機能(クレアチニン、尿素窒素)、栄養状態(総蛋白・アルブミン)、感染症など |
尿検査 | 尿たんぱく、尿潜血、尿糖、尿ウロビリノーゲン |
身体計測 | 身長、体重、BMI値(肥満度)の算出 |
心電図 | 不整脈、心筋梗塞や狭心症の所見 |
レントゲン検査 | 胸部レントゲン検査では肺炎・肺結核などの有無、胃部レントゲン検査では胃・十二指腸のポリープや潰瘍・癌などの有無、関節の状態 |
運動負荷心電図 | 運動を行っているときの心電図・血圧の変化の観察 |
呼吸機能検査 | 肺活量、1秒率(最初の1秒間にどれだけ息を吐けるか) |