緑内障
公開日:2016年7月25日 15時00分
更新日:2022年4月14日 13時46分
緑内障とは
緑内障とは、目の中の圧力(眼圧)が高くなることで視神経(目の神経)が圧迫され、視力が低下したり、見えない部分ができる疾患です。
図1のように視神経が何らかの要因で圧迫されると、視野がだんだん狭くなり、今まで見えていた範囲を見ることが出来なくなります。何も治療をしないで緑内障が進行していくと、やがて失明に至ります。以前は、「あおそこひ」とも呼ばれていました。
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緑内障の見え方
実際に緑内障になると、見え方は写真のように視野がだんだん狭くなり、今まで見えていた範囲を見ることが出来なくなります。
緑内障の人はどれくらいいるのか
厚生労働省の研究によると、年齢が40歳以上の20人に1人が緑内障を発症していることが明らかになっています。この中で、実際に治療を受けている人はおよそ20%しかいません。残りの80%の人は、自覚症状がなく、検査を受けることで初めて緑内障であることが分かった人たちということになります。
緑内障による視覚障害とは
緑内障は、眼圧が異常に高くなると起きると考えられています。しかし、最近では眼圧が正常でも緑内障を発症する人がいることも分かってきています。
緑内障を発症した場合、徐々に視野が狭くなるため、初期の段階ではほとんど自覚症状がありません。そのため、緑内障かもしれないと思って受診した時には、すでに重篤な状態になっていることもあります。残念ながら、一度圧迫されてしまった視神経は二度と元には戻らないのです。
緑内障による視覚障害は、全視覚障害の24.6%を占めており、視聴覚障害の原因の第一位となっています。
疾患名 | % |
---|---|
緑内障 | 25.5 |
糖尿病網膜症 | 21.0 |
網膜色素変性 | 8.8 |
高度近視 | 6.5 |
白内障 | 4.5 |
黄斑変性症 | 4.2 |
脳卒中 | 2.8 |
外傷 | 1.7 |
角膜混濁 | 1.1 |
先天性の障害 | 0.9 |
その他 | 23.0 |
緑内障はなぜ起こるのか
緑内障を発症させる要因としては、以下のようなものが複雑に影響しあっていると考えられています。
- 年齢
- 性別
- 眼球の屈折の異常(近視や遠視によるもの)
- 人種
- 体位
- 運動
- 血圧
緑内障の早期発見・早期治療
緑内障の進行によって失明しないためには、定期的に眼科健診を受けることです。40歳を過ぎたら、たとえ自覚症状がなかったとしても、年に一度を目安に眼科での健診を受け、早期発見・早期治療を心がけましょう。
緑内障の治療
緑内障は、以前から、眼圧が上昇することが原因で視神経が圧迫される病気と理解され、眼圧を下降させることが治療として有効とされてきました。眼圧を下降させることで全部の種類の緑内障を発症するリスクを下げることが明らかです。緑内障になってしまった患者さんでも、病気の進行を遅らせることができる方法として知られています。
そのため、緑内障の患者さんにとって、自分の眼圧値を知り、数値を安全な範囲にコントロールすることが課題になります。
眼圧とは、目の硬さのことです。目が硬くなり眼圧が上昇すると、視神経を圧迫し、緑内障になるリスクが高くなることが分かっています。
緑内障の治療としては、薬物療法やレーザー療法、手術療法などさまざまな方法があります。これらの治療の目的は、眼圧を下げることで緑内障の悪化を防ぐことです。
緑内障と眼圧の関係
日本人の平均的な眼圧は、14.5mmHgで、眼圧の正常な範囲は10~20 mmHgであることが、大規模な研究で明らかになりました。眼圧は個人差が大きく、1日の中でも時間によって数値が変わったり、時期によっても変わるなど、人によってさまざまなパターンがあります。四季がはっきりしている日本では、夏の時期には低くなり、冬の時期には高くなる傾向にあるようです。
眼圧の正常な範囲は、健康な人を対象にして研究された数値ですが、たとえ眼圧がこの範囲内だとしても、緑内障にならないと言い切ることは出来ません。
研究で出された数値は統計的に出されたもので、全体の95.5%が含まれる平均値±標準偏差値の2倍で算出されています。
近年、日本人の中には、眼圧が正常な範囲の数値であっても緑内障を発症する人が増えています。正常範囲の眼圧でも緑内障になったケースは「正常眼圧緑内障」と呼ばれます。
近年の調査によると、日本人で40歳以上の緑内障の有病率は5.0%であり、緑内障を発症している人の中での「正常眼圧緑内障」の有病率は3.6%(28人に1人)です。
現在では、40歳以降の成人における全緑内障の72%が正常眼圧緑内障の患者さんです。日本人の正常眼圧緑内障の割合は、他の諸外国と比べても、その傾向が著しく高いということも分かっています。